解放 21 (ママ) ページ37
雅紀Side
「……んっ…」
雅「いいよ、A。大丈夫だから。お薬飲もう？」
なにか少しでも食べられそうなものを持ってきてみると言って部屋を出ていった智にぃ。
その間にも辛そうに声を漏らすAは、布団の中で小さくうずくまるようにして動かない。
数時間前のように、完全に薬の効果が切れていたら冷静ではいられないと思うんだ。
今はまだ唸り声を上げている程度だから、多少は痛みを抑えられている…はず。
もうあんな思いはさせたくないんだよ。
できるだけ痛くないようにしてあげたい。
智「ただいま。これと…あとこれね。あったほうがいいでしょ？」
雅「あ、俺も後で取りに行こうと思ってたんだ。ありがとう」
再び薄く血のついてしまった枕の交換用のタオル。
食べ物や飲み物と一緒に持ってきてくれたみたい。
雅「A、ちょっとだけでいいからさ、そろそろ水分とっておこうか」
「んっ」
雅「起きられる？痛いね…ゆっくりでいいよ」
予想外に素直に頷いてくれたけど、頭を持ち上げると痛みが増すのか表情はより険しくなる。
ベッドの端に腰を掛けて手を伸ばして、背中に回した腕で抱き寄せるように支えながら、薄く開いた唇の隙間をちらっと覗いた。
さすがにもう出血は止まってると思うんだけどね…
唾液にちょっと血が混じるくらいなら問題ない。
…けど、Aが見るとまた動揺してしまうかもしれないから。
枕のタオルは智にぃにお願いしてコッソリ交換しておいてもらおう。
雅「何がいいかな〜
プリンあるよ。りんごジュースと…これはおかゆだね。食べたいものある？」
実際に目の前に出してみれば少しは食欲もわくかな…と思ったけど、やっぱり厳しいね。
でも用意された中で一つだけ。
Aが口にできたものがあった。
雅「プルプルだ〜、美味しそうだね。甘い？」
智「ふふ。よかった、食べられて。また作ってって、伝えておこうね」
牛乳に砂糖を溶かして、ゼラチンで固めただけのミルクゼリー。
ほとんど液体かってくらいゆるゆるで、それでも牛乳そのままよりスプーンで口に入れやすく、舌で簡単に潰せて喉越しもいい。
潤が作っておいてくれたんだって。
雅「はい、もう一口。
これ食べたらお薬飲もうね」
「っ…んっ…」
雅「…A？どした？」
二口目を口に入れてあげた直後、ぎゅっと結んだ唇を震わせたAは、徐々に背中まで震わせ始めた。
やっぱり嫌だったかな。
無理をさせたね、ごめんね。
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ちさ(プロフ) - 光さん» 最近お話が書けず落ち込んでいたので…光さんの温かいお言葉に泣いてしまいそうです…。そうですね、もう長いこと暗い話題ばかり。きっと自覚している以上に身体も心も疲れてしまっていると思います。光さんにも少しでも気が休まる瞬間があれば…と願っています (2020年4月3日 22時) (
レス) id: 4da98155f9 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 気持ちが滅入るニュースばかり、自分が感染していないか、人に感染していないか、そんな緊張感で気持ちも頭も限界なのに、ストレス解消する方法もない。そんな世の中になってしまいましたね。ゆっくりしてください。いつまでも待っています。先が見えず辛いですね・・。 (2020年4月3日 22時) (レス) id: 6f1bc6d6bd (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - フェレットさん» こんばんは、フェレットさん！今回も読んでいただきありがとうございました。妹ちゃんもようやく大きな悩みから解放されてホッとしたと思います。長いこと時間がかかりましたからね…妹ちゃんもお兄ちゃんも、お疲れさまという気持ちです (2020年2月29日 21時) (レス) id: e50f5e6951 (このIDを非表示/違反報告)
フェレット(プロフ) - 更新お疲れ様です！今回もお兄ちゃん達の優しさが沁みました、最高でした (2020年2月28日 6時) (レス) id: 88923771a6 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - すーたんさん» お久しぶりです、すーたんさん！今回も読んで頂きありがとうございます。そ、そんな…一度押すだけだって手間なのに…嬉しい…すごく嬉しいです。そんなふうに思って頂けているだけで本当に幸せですし、本当に感謝しています。ぜひ、これからもよろしくお願いいたします (2020年1月16日 22時) (レス) id: f864660af2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2019年12月7日 22時
