夏の悪あがき 8 (潤) ページ22
雅紀Side
注射も、血や傷だって、見慣れていないわけではないのに。
場所が変わると一気に緊張感が増す。
これからこの傷口に鋭い針が入っていくのかと思ったらなんだか身体がゾワゾワして、助けを求めるように智にぃの顔を見てしまった。
雅「うん…あっ」
すぐに視線に気づいた智にぃは『ふふっ』って笑いと『大丈夫？』って言葉を、注射器のキャップを外しながら声を出さずに伝えてくれた。
つい普通に答えてしまった俺は口をすぐに押さえて、それを見た智にぃはまた笑って…
いつもと変わらないふにゃっとした顔に俺は安心をしたけど、これを潤は見ることができない。
声しか届かないから、その分俺ができることをできるだけやって安心させてあげたいな、って。
俺が怖がっている場合ではないと、腰のあたりを軽く押さえてあげながら潤の顔を覗いた。
雅「ん…？どうしっ…
…智にぃ！潤が！！」
麻酔が始まる合図があって、潤の身体がビクッと動く。
今一番怖いだろうな…って、励まさなきゃって思ったけど…
怖がるにしても異常な力の入りように、何かがおかしいと直感した。
別の理由がある…そうじゃなきゃ、こんなに苦痛の声を出すはずがない。
智「どこが痛い〜？
潤、わかる？呼吸苦しいの？」
雅「脚…智にぃ！脚攣ってる！」
歯を食いしばって、その隙間から唸り声を漏らして、呼吸もままならなくて…って、つい一時間ほど前に見た光景と同じ。
痛いって口に出して、治してくれって俺らに訴えてくれればいいのに…
潤はなんとか耐えようと、ジッとしたまま声を押し殺してしまったんだね。
雅「さっき運動してきて…そのときも攣っちゃって…」
智「じゃあ二度目？…水分は取ってた？」
雅「取ってたと思うけど…どれくらい飲んだかはわからないや」
タオルをめくって隠れていたふくらはぎを見てみたら、やはり先程と同じ方の脚が攣っていた。
麻酔が始まる前…声を発しなくなったのは緊張しているからだと思っていたけど…
もしかしたら、その時から攣る前兆を感じて怯えていたのかも…
軽く痙攣が始まっていて、痛みに耐えていたのかもしれない。
ごめん…熱中症の可能性…頭からすっかり抜け落ちてた。
智「呼吸しづらいかな。身体、横向きにしようか」
傷にガーゼを当てて、腰までかけたタオルの上から智にぃが手で押さえている。
潤「うぁっ！」
傷口を守りながら身体の向きを変えていると、潤が一際大きな声を出して身体を捩った。
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ちさ(プロフ) - まーさん» こんばんは、まーさん。お話、読んで頂きありがとうございます。今は7人を順番に書いているのですが、妹ちゃんのお話は次の次か…そのまた次くらいに書く予定でいます。遅くなってしまい申し訳ありません…数ヶ月以内に必ず書きますので、お待ちいただけると幸いです (2017年11月25日 22時) (
レス) id: 3d0d8827a7 (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - いつも楽しみに見てますリクエストお願いしたいのですか、主人公のお話を書いてほしいです！ (2017年11月22日 22時) (レス) id: 8db043ade5 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - サラさん» こんばんは、サラさん。やっぱり怒られてもケンカをしても、ママが大好きなのは変わりませんから。特別な存在ですもんね、母って。ゆっくりになりますがまた更新をしますので、その時にはちょこっと遊びに来ていただけると嬉しいです (2017年10月12日 22時) (レス) id: f493fa2932 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - ゆりあさん» お久しぶりです、ゆりあさん。わー！お腹に赤ちゃんが！おめでとうございます！今は体調は大丈夫ですか？色々と大変なこともある中、お話を読みに来ていただきありがとうございました。無事に元気な赤ちゃんが生まれてきますように…祈っています (2017年10月12日 22時) (レス) id: f493fa2932 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - さくら もなさん» こちらこそ、読んでくれてありがとう。もなちゃん、受験生なんだね。勉強ばかりだと、どうしても身体も心も疲れてきちゃうし、体調崩すとそれでまた焦っちゃったりとかね…。大変な時期だと思うけど、適度に休憩をしながら…。良い結果になるよう、応援しています！ (2017年10月12日 22時) (レス) id: f493fa2932 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2017年8月5日 22時
