胃腸炎 3 (雅・和) ページ35
翔Side
雅「いやだっ!! そんなの聞いてないっ!!」
和「しょーにぃーのうそつきーーっ!!」
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病院に着いて、診察と検査をすることを伝えると、“検査はしない!!”と大騒ぎしはじめた。
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しまった・・・検査のことまでしっかり説明しておくべきだった・・・
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一度興奮してしまった2人は、ちょっと診察しようとしても、それすらやらせてくれない。
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補助の看護師が近づくことにすら敏感に反応して、押さえつけてしまうことも厳しそうだ。
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やっぱり俺一人じゃ無理だったか・・・
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お昼休みまであと3時間。
智にぃが来るのを待った方がいいかもしれない。
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そんなことを思っていた時・・・・
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『おい・・・なんか叫び声聞こえたけど大丈夫か?』
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翔「まっ、松岡せんせっ・・・どうしたんですか。」
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松「どうしたって・・・さっき翔が来てるってナースに聞いてさ。
休みの日に何してるんだと思って見にきたら、やけに騒がしかったからよぉ。
・・・・・で、これはどういう状況なんだ?」
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部屋の隅で叱られた子犬のようにビクビクしている2人と、
聴診器を手に持ったまま突っ立っている俺を見て、松岡先生が首をかしげている。
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翔「これは・・・あの・・・・あっ、そこの2人は俺の弟なんですけど・・・・」
松「あぁ、弟くんか。
どうした? 風邪でも引いたのか?」
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翔「ちょっと嘔吐と下痢が酷かったもんで。
あっ・・・・それでですね・・・松岡先生・・・」
松「ん? なんだ?」
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俺は松岡先生の近くまで行くと、小さく耳打ちをした。
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うちの弟は病院が大の苦手なこと。
今はちょっぴり甘えん坊になっちゃってること。
俺だけじゃ手が足りないこと。
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そんな俺の話を、先生はコクコク頷きながら聞いてくれた。
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翔「ってことなんですけど・・・・・あの・・・」
松「いいよ。ちょうど手空いてたし。
俺が診てやるから、翔は弟くんについててやんな?」
翔「あっ、ありがとうございます。
すいません、お願いします。」
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俺の少ない言葉だけで言いたいことをくみ取ってくれた松岡先生は、
ポケットから聴診器を取り出して机の上に置くと、
白衣を脱いでカッターシャツ姿になってくれた。
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“こっちの方がいいんだろ?”って笑っていた松岡先生に、俺は感謝の気持ちでいっぱいだった。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年12月8日 20時
