胃腸炎 14 (雅・和) ページ46
智Side
翔「まさき・・・・・・」
.
和の名前を呼んだのは、雅紀だった。
.
布団から這い出してきて、疲れ切った顔で、
それでも必死で笑顔を作っている雅紀は、和のそばにいって頭を撫で始めた。
.
.
.
雅「かず?」
和「・・・・まさに」
.
雅「おれも・・がんばる・・・・
だから・・・・かずも・・・がんばる・・・ね?」
.
.
今日の雅紀は本当にいいお兄ちゃんをしてくれている。
.
こんなこと、今までじゃ考えられなかったのに。
.
.
自分も頑張るから、和も注射頑張るよって、
体をふらつかせながら説得している雅紀に、僕も翔も驚きが隠せなかった。
.
.
あまりにも抵抗している和を見て、自分はしっかりしなきゃって、思ったのかな。
.
さっきの嘔吐した時といい、
きっと今日は、雅紀のお兄ちゃんスイッチが入っているんだろう。
.
.
いつもこうだったら助かるんだけど。
.
まぁでも、たまたまだっていい、
今こうして和に微笑みかけてくれてる雅紀は、僕らにとってありがたすぎる救世主だった。
.
.
.
智「翔なんかより全然素敵なお兄ちゃんだね、雅紀は。」
翔「ちょっ・・・まぁ・・否定はできないけど・・・」
.
智「ふふっ。うそうそ。
どっちも負けてないよ。
雅紀も翔も優しいもんね〜、かずくん?」
和「ん・・・・・ふぇっ・・やだぁ〜」
.
智「ん〜? 何が嫌なのかなぁ〜?
もうチックン終わってるんだよ〜?」
.
.
雅紀のおかげで和の動きが止まっている間にスッと針を刺し終えた。
.
僕の顔を見た和は点滴をすることを思い出したのか、泣き顔になったけど、
その時はもうすでに終わったあと。
.
和は針が刺さった自分の腕をチラッと見て、ビクッと身体を震わせていた。
.
.
翔「な〜にそんなに怯えた顔してるの(笑)
もう痛いことも怖いことも終わったんだぞ〜?
雅にぃにありがとうしときな。」
.
翔の言葉に雅紀の顔を見上げた和は、
ありがとうと言うかわりに、そばにあった雅紀の手をキュッと握った。
.
そんな和にニコッと笑って、手を布団の中にしまってやった雅紀は、
今度はうってかわって、僕の顔をのぞき込みながら不安顔。
.
次は自分の番・・・・
そう思うと、やっぱり怖くなってしまったんだろうね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 448人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちさ
| 作成日時：2012年12月8日 20時
