胃腸炎 8 (雅・和) ページ40
翔Side
翔「先生・・・約束って・・・・」
松「あぁ、“やめて”って言ったらやめるよって約束してたんだよ。
なぁ、雅紀くん。ゆーびきりげんまん♪ってな(笑)」
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あぁ、そういうことだったか。
それだとしても、こんな約束だけで雅紀が静かになるとは思えない。
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やっぱ、先生の醸し出す雰囲気とか、近づき方とか、表情の作り方とか、
そういうのが全部、雅紀を安心させる要素だったんだろうな。
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こんなところまで完璧だなんて、もう俺、松岡先生に勝てるところないよ。
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松「よしっ、じゃあ、あとは検査だけな。
横向きになって膝抱えて?」
雅「えっ・・・やっ・・・・やだっ・・」
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松「う〜ん・・・この“やめて”はちょっと聞いてあげられないなぁ。
これで終わりだから。ちょっと頑張ろう。
はい、翔。固定。」
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雅紀、どれだけ泣いても、たぶん無意味だぞ。
松岡先生はやると決めたら容赦ないから。
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押さえつけてやるのも、先生の優しさなんだよ。
きっとすぐに終わらせてくれるからさ、ちょっとだけ辛抱ね。
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松「はい、おしりの力抜いて。」
雅「あぁっ!! やっ!!・・んああぁぁぁ!!! いたいっ!!いたいーー!!」
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松「おいおい、まだ何もやってないぞ〜?
ほら翔、しっかり押さえて。」
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翔「はい。
雅紀、大丈夫。痛くない、痛くない。
ちょっとだけじっとしてようなぁ〜」
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雅「うあぁぁぁっ!!! あっ・・ﾝｧｯ・・・ｯｱ・・・ﾊｧﾊｧ・・ﾊｧ・・・」
翔「おっ・・・・・どうした?」
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雅「ｯﾊｧ・・ﾊｧ・・ﾊｧ・・・んあっ・・ﾊｧｯ・・ﾊｧﾊｧ・・ﾊｧｯ・・」
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松「はい、グリグリおしまい。
よしっ、雅紀くん、ゆ〜っくり呼吸しよう。
はい、息を吸って〜?・・・・・はいて・・・・
吸って〜・・・・はいて〜・・・・・よしよし、上手だ。」
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興奮してたのと、極度の不安と緊張からか、呼吸が乱れてしまった雅紀。
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そんなことにも慌てることなく対処してくれた松岡先生は、
すでに検査まで終わりにしてくれたようだった。
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不測の事態でもまったく表情が変わらない。
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どんな時でも冷静に。
こういうところ、さすが松岡先生だよな。
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大きな手で優しく雅紀の背中を撫でてやっている先生の顔が穏やかで、
なんだか俺まで落ち着かせてもらっているような気分だった。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年12月8日 20時
