手のかかる後輩 9 (翔) ページ42
松岡Side
すみません、すみません、って。
すーぐ言うんだもんな、ここんちのやつは。
Aもそうだったっけ。
結局脚の傷がある程度消えてくるまで何度か診てやっていたが、その間に何度同じ言葉を聞いたことか。
松「…ちょっと寝るかな」
タクシーで帰るという翔を見送った後、当直だった俺は忙しい夜を過ごしていた。
現在は4時、数時間前に少し横になって以来、二度目の休憩だ。
若いときはよかったかもしれないが…
さすがに少し休んでおかないと、身体がもたない。
.
松「…ん？誰だよ…」
気持ちよく寝ていたのに、手に握られたままだったスマホが振動して目が覚めた。
当直の時は必ず届く小春からのメッセージ、それを読んでいる途中に眠ってしまっていたようだ。
松「はい…あぁ？
…翔か？
…おい、おまえ今どこにいる」
発信者を確認する前に出てしまったが、この声はおそらく翔だ。
言葉が途切れ途切れで、話し方が普通ではない…
嫌な予感がして一気に目が冴えた。
わずかに聞こえるポツポツと水が落ちる音。
震えた声に、ボーボーという雑音…
呼気が当たっているのか…
松「どこにいるって？
電話切るなよ、すぐに行くから」
外を見ると小雨が降っている。
傘はさしているのだろうか…
何か身体を包むものが欲しいが…探している時間はない。
スマホを耳に付けたまま、手元にあった白衣を掴んで仮眠室を飛び出した。
松「さっむ…」
病院の前にいるという翔を迎えに走って外に出たはいいが、肌に当たる雨粒は意外と重く、濡れた身体に冷たい空気が触れるとゾワッと鳥肌が立つ。
どうしてこんな時間に…
雨の中、家に帰ったはずの翔がいるってのか…
松「チッ…
…おいおいおい」
電灯の下、わずかに照らされたところで発見した翔の姿に、思わず舌打ちをしてしまった。
これは急がないとまずそうだ。
翔「っ…せんせっ…」
松「話は後でな。ほれ、こっち向いて」
立っていることができなかったのか、翔は濡れた地面に座り込んで身体を折り曲げていた。
顎を持ち上げながら顔を覗き込んでみると、やはり呼吸が荒くなっている。
松「涙が出ててもこれじゃわかんねぇな。
泣いてはいないよな？まだ耐えられてるか？」
濡れてデコに張り付いていた前髪をかきあげて、涙を流しているかのように潤った目と水滴の付いた頬を手の甲で軽く拭いてやった。
バサッと広げた白衣を羽織らせて…
俺が背負っていこうか。歩かせるより早い。
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琴子(プロフ) - また長くなっちゃった…。読んで頂けるだけでうれしいので、この続きはPart18で。お返事あるとヤッター！って喜んでる私ですが、じゃないと終わらない…。嬉しい(*^^*)けど！また(^-^)/ (2016年11月9日 17時) (
レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - って、ちささんの作品ファンなら皆さんそうだと思います。それだけ好きです。次回からはPart18との事。おめでとうございます＼(^o^)／こちらこそ、毎晩の更新にお返事ありがとうございました。必ず、次回も来ますからね、楽しみにしてます！ (2016年11月9日 17時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - またお返事頂いて嬉しいです！ びっくりしましたぁ？当然です〜。な〜ん〜て。正直、言えば忘れてるとこもあるかも知れませんが、誰のお話ってなれば、今までのお話が頭に浮かぶしさらにはその中の言葉まで。 それだけハマりすぎてます。 (2016年11月9日 17時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - 琴子さん» そうなんです！前回と少し繋がっていましたので、白衣のところはあえて入れていたシーンだったんです。コメントを読んでびっくりしました。気付いていただけて、とても嬉しいです。毎日読んでいただき、ありがとうございました！次回もまた読んでいただけると幸いです (2016年11月9日 0時) (レス) id: 11255fdd0d (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 更新もお返事も！とっても嬉しい(*^^*)ありがとうございます！ここんちのやつの謝るとこ。妹のエピソード。妹好きの私には(T_T)松岡先生の白衣今度は翔兄の為に。物語がつづいてるって感じられました(#^.^#)またほんとに気軽にお邪魔しまっす！また(^-^)/ (2016年11月8日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2016年8月7日 1時
