晴れない視界 10 (和) ページ45
智Side
智「あれ？随分早かったね」
リビングに入ってきた雅紀の手には、さっき僕が持たせたものがそのままの状態で残っていた。
「追い返された」と笑った表情が悲しそうに見える。
智「フルーツなら食べてくれると思ったんだけどね。
着替えは？」
雅「自分でやるからいいって」
昨日一昨日と眼科に行って経過を見てもらっているから、その度に眼帯を外すことになる。
診察を終えて「どうだった？」と聞くと、2日とも返事は同じだった。
「まだよく見えない」って。
それは今日も同じ。
じきに良くなることはわかっているはずなんだけどね。
きっと和は早く治そうと焦ってしまっているんだよ。
一度は復活した食欲も再び落ち、今日はついに飲み物以外何も口にしなくなってしまった。
雅「悪いことしたなぁ。怒らせちゃった」
今日はイライラしていたのか、珍しく声を荒らげたとか。
着替えを手伝おうとした雅紀は部屋を追い出されてしまったみたい。
智「和も雅紀のことが憎くてそうしたわけじゃないから。
気にしないであげてね」
雅「わかってるよ。落ち込んでなんかいないから大丈夫！
…でも、しばらくは智にぃか翔にぃが行ってやった方がいいかも。
和もその方が甘えられるから」
智「ん…あとで様子見に行ってみるね」
大丈夫なんて言って、本当はショックを受けているはず。
あの温厚な和が怒鳴るなんて、ほとんどないから。
甘えられるようにって思いは本当だろうけど、自分が行ってまた和の気持ちを乱してしまったら…
そう思うと足が重くなってしまうんじゃないかな。
智「和、飲み物足りてる？ジュース置いておくね」
飲みかけのお茶のペットボトルの横に、一度蓋を開けて緩く閉め直したりんごジュースを置いた。
「ありがと…」って無愛想な返事だったけど、怒っているというわけではなさそう。
やっぱりさっきは一時的に苛立ってしまったんだね。
しばらくはこんな感じだろうけど、それはいつか終わることもわかっているから。
翔「和、調子いいってさ」
そしてその『いつか』は、思ったよりもずっと早くにやってきてくれた。
翔「そうだ、アイスが食いたいって言ってたけど、あげてもいいよね？」
智「またアイス？今日二本目だけど…」
次の日、診察を終えた和は「視力が戻ってきた」と声を弾ませた。
こうなれば精神的にも落ち着いてくるはず。
いつもは一日一本のアイスも、今日は嬉しくて二本目を許してしまった。
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ちさ(プロフ) - ユーラシアさん» 楽しんでいただけているようでとても嬉しいです。すごく力になりました！遅くなってしまいましたがPart17に移行して新しいお話も更新しましたので、のぞきに来ていただけると幸いです (2016年8月7日 1時) (
レス) id: 10871da05b (このIDを非表示/違反報告)
ユーラシア - とってもとってもとってもワクワクします。私毎回待ちきれないです。頑張ってください (2016年7月29日 20時) (レス) id: 9a340dd8ed (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - まみさん» わ〜嬉しいです、ありがとうございます！そう言っていただけると、お話を書くのがさらに楽しくなりそうです♪ 少しずつ準備を進めて、できるだけ早く更新できるように頑張りますね (2016年7月25日 22時) (レス) id: c91b655369 (このIDを非表示/違反報告)
まみ - いつも見させていただいてます！とてもおもしろくて、はまってしまいました！続編楽しみにしています！ (2016年7月22日 23時) (レス) id: e125ca4219 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - ゆなひろまこまこさん» ありがとうございます。楽しんでいただけて良かったです。できるだけ早く更新できたらと思っていますので、またのぞきにきていただけると幸いです (2016年7月18日 23時) (レス) id: c91b655369 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2016年4月11日 1時
