パパが治してあげようね *ARS* 13 (ページ22)

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アナフィラキシー　8　(翔) ページ22

翔Side

翔「お前らな！なにをしたのかわかってんのか！
へたしたら死んでたんだぞ？命を粗末にするんじゃない！」

安心すると同時に沸き上がってくる怒りを、俺にはもう止めることは出来なかった。
いくら酔っていたからって…こんな危険なことを平気でするなんて許せない。

まだ20代も始まったばかりだろう？
人生これからなんだろ？

なのに…
こんなバカなことで、死なれちゃたまらないんだよ。

翔「たまたま逃げられたからいいものを…
おい、ちゃんと聞いてんのかよ！」

智「翔、それくらいにして。今は手当を優先しよう？」

仁王立ちで上から見下ろすようにぶつけていた言葉を、智にぃの穏やかな声に遮られた。
地面にへなへなと座り込んでしまった3人は、下を向いたままボーっとしている。

それが疲れのせいなのか、酒の影響なのかはわからないけど…

いや、そうとも限らないのか…
もしかしたら…

翔「君、大丈夫か？刺されたのは一箇所だけ？
君は？どこか痛いところないか？」

少なくとも一人は、ハチに刺されたことを確認している。
頭に血が上っていたとはいえ、それを忘れて説教なんて。

もしアレルギー反応がでていたら…
俯いて動かないのは、身体の不調に耐えているからだとしたら…

優先すべきことがわかっていなかった。
なにやってんだ、俺。

智「刺されたのは一人だけみたいだね。
念のため病院には連れて行こう。毒性の強いハチだから」

翔「うん、そうだね」

まだ安心はできないけど、危惧していたことは避けられたようだ。

楽しかったんだろうな、酔ってこんなになるほど上機嫌でさ。

ただ、無茶な飲み方はするなよ…
自分にだって迷惑かかるんだからな？
こんなことで後悔して自分を責めたくはないだろ？

…って、あれ？

智「ここで応急処置だけしちゃおうか。
翔はここで…しょ、翔…？」

おかしいな…なんか息が…

智「翔、どうした？」

翔「ごめっ、ちょっと…」

智「…もしかして翔も…
おおっと。すぐ座って！どこ刺されたの！？」

あぁ…そうだった。俺もさっきハチに…

ふらついた身体を智にぃに支えてもらいながら、重症なのは俺の方だったと気づく。

智「息できる？蕁麻疹でてきてるね…」

翔「だいじょぶ、だって…。それより、こいつらを…」

智「翔はおとなしくしてて。優先順位は僕が決める」

強がって言ってはみたけれど、自分が危険な状態なのはわかっている。
急激に現れた息苦しさに、もう苦笑するしかなかった。