小学生のまーくん 8 (雅) ページ8
雅紀Side
雅「さとにぃ…ひっく…しょーちゃ…」
「やっぱりここにいると思った!!当たってたー!!」って翔にぃと、「どーしたの、まーくん。怖くなっちゃったの?」って智にぃ。
なぜこの2人がここにいるのかわからずに戸惑っている俺に、先生が2人を交互に見ながら教えてくれた。
井「雅紀くんがいなくなったのを知って、智くんと翔くんも一緒に探すって言ってくれたんだよ。
ボクがまーくんのところに行ってあげなきゃって。ね?」
翔「うん!! だってまーくん、一人でいたら寂しくて泣いちゃうから…」
智「まーくんはボクの弟だもん。ボクが探しに行くのは当たり前でしょ?」
強がりだけど実は寂しがりやな翔にぃは、一人でいることの寂しさをよく知ってる。
お兄ちゃんとしての責任を強く感じていた智にぃも、黙ってジッとしてることなんて出来なかったんだろう。
後から聞いた話、井ノ原先生にも智にぃ翔にぃの担任の先生にも、子供だけで探しまわるのはやめておきなさいって言われたらしいんだけどね。
でも絶対に探すんだって言って聞かなかったんだって。
それに先生の方が折れて、学校の外には出ないことを条件に許可してくれた。
ただし、翔にぃは智にぃの検診が終わるのを待って、2人で行動するってことを約束させられたみたいだけど。
智「一緒に戻ろう?まーくん。ボクがついててあげる」
翔「そーだよ、3人でいれば怖くない!!」
井「智くんと翔くんがついていてくれれば心強いね。
先生はいなくてもいいかな」
もちろん、智にぃと翔にぃがそばにいることは何より心強いことだったよ。
でも冗談ぽく「先生はいらないね」なんて言う井ノ原先生に寂しくも思ったんだ。
井「おっ…いてて。雅紀くんは力が強いな〜」
だからほとんど無意識だったけど、目の前の頼りがいのある長く大きな脚に思いっきり手を伸ばしてたんだ。
智「ふふ。まーくん、先生にも一緒にいてほしいって」
その言葉に頷きながら両手を絡めて抱きついた。
普段木登りする時みたいに、ぎゅっとね。
先生は強くて優しくて、全身を包み込んでくれるような安心感がある。
だから抱きつきたくなるんだ。
それはきっと、身体が大きいからってわけじゃない。
心の大きさが子供の俺にも伝わっていたんだろうね。
井「じゃあ行こうか、雅紀くん」
翔「どーしたの?立てない? どっか痛いの?」
雅「んーん…違うの…ボク…」
智「だいじょーぶだよ。まーくんの気持ちは、きっと歯医者さんに伝わるよ」
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作者名：ちさ
| 作成日時：2014年6月28日 23時
