肋骨骨折 10 (潤) ページ48
智Side
潤がこうなることは最初から予想していた。
だからしばらく寝ずに待機していようと思って。潤が薦めていた推理小説を読んでいたんだ。
翔「寝ててよかったのに」
智「寝てたよ」
翔「え？だって起きてたって…」
寝ずに待機してたってのは本当。最初はね。
普段本なんて読まない僕には、びっしりと羅列された文字は催眠剤にしかならなくて。
いつの間にか寝ちゃってたみたいなんだ。
潤「ごめん…俺のせいで起こしちゃって…」
智「いいんだよ。僕起きてたから」
翔「あの…さっきと言ってることが逆なんだけど。寝ぼけてる？」
違う違う。翔から電話がかかってくる前には起きてたってこと。
たぶん本がベッド下に落ちたんだろうね。
大きな音がして飛び起きたら、ちょうど連絡がきたんだ。
翔「智にぃには悪いけど、起きててくれてよかったよ」
智「ね〜。大変だったもんね」
少しでも咳を出さないように身体に力入りまくってたし、顔真っ赤だし、涙目でもう限界って顔してたから。
今は痛み止めと咳止めの薬を飲んで楽になったようだけど…でも…
智「僕もうダメだと思うんだ。このままじゃ心配だし…」
翔「そうだなぁ…。潤は嫌がるかもしれないけど。何かあったら困るしね」
もし夜中に風邪の症状が悪化したり、痛みが強くなってきたら、こうしようって最初から決めていた。
潤には我慢してもらうことになるけど、こうしたほうが安心だから。
智「じゃ、ちょっと準備してくるね」
潤「まっ、待って！」
智「ん？どしたの？」
潤「俺、もう咳止まったし…平気だから…」
智「うん。でもまた苦しくなったら大変でしょ？」
潤「そうだけど…でも…」
そっか、そんなに嫌なのか…
潤を思ってのことだから、わかってほしいんだけどな。
そう少し寂しく思いながら、部屋に行って必要な物を手にリビングに戻ってきた。
翔「ははっ、違うんだよ、潤」
そのとき、リビングに響いた笑い声。
さっきと雰囲気が違いすぎて少し戸惑う。
智「どしたの？何かあった？」
翔「いや、それがさぁ」
あぁそっか、潤には言ってなかったんだっけ。
持ってきたのは愛用の枕。それと掛け布団一枚。
智「焦らせちゃった？ごめんね。入院じゃないんだよ」
翔「一緒に寝るだけ。智にぃもいた方が安心だろ？」
智「両側お兄ちゃんで寝づらいかもしれないけど。許してね？」
恥ずかしいと顔を赤くしている潤が微笑ましい。
そりゃあの言い方だと勘違いしちゃうよね。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2014年6月28日 23時
