小学生のまーくん 5 (雅) ページ5
雅紀Side
翔「どしたの?元気ないじゃん」
みんなでシュコシュコ歯磨きをしているとき、歯ブラシを咥えた翔にぃがニヤニヤしながら俺を見てきた。
なんで落ち込んでいるのかなんて、聞かなくてもわかってるくせに。
わざわざからかうように突っついてくる翔にぃは意地悪だ。
雅「なんでもないよ…」
翔「ふーん。
うわっ、潤くんヨダレたれてるー!!」
興味の対象が俺から移ったようで、今度は潤がいじられている。
こういうの、ホント小学生らしいっていうかさ。
相手の気持ちを察して発言や行動を制するっていうのは、徐々に身についていく力だと思うから。
まだまだ未熟だった頃、何気ない一言にムッとしたり傷つけられたこともあったんだよ。
その逆も然り。
今では喧嘩なんてほとんどしない、むしろ気を使いすぎてる感のある俺達も、昔から大人だったわけじゃないんだ。
潤「だってぇ…歯磨きしてたからぁ…うぅ〜…」
智「だいじょぶだよ、潤くん。
智にぃが拭いてあげる。
翔ちゃんも、早く磨かなきゃ」
翔「はぁーい」
でもね、智にぃだけはこの頃から別格。
いつもどんなときでも守ってくれることが、どれほど心強かったか。
長男としての自覚が強いがゆえの我慢も苦労もあっただろうけどね。
そんなことは、今も昔も、俺らには語らない。
智「あーんして見して?
んー…よし!!みんなきれいになった!!」
弟たちのピカピカになった口の中を見て、智にぃが2人の頭のてっぺんをクシャっと撫でる。
歯科検診前の歯磨きはお父さんとの約束。
歯磨き後のチェックは、智にぃの役割だったんだ。
和「ねーねー、さとにー。
カズね、虫歯ないよ。だって昨日おとーさんにみてもらったもん!!」
潤「ジュンもー。きれいね、って」
智「そーだね。じゃあ歯科検診なんて全然怖くないね」
この年の歯科検診の担当はお父さんじゃなかった。
ただでさえ歯医者を怖がってしまう低学年組のために、お父さんが前の日の晩に練習をしてくれていたんだ。
智「まーくんも、心配しなくて大丈夫だよ」
翔「え、もしかしてまーくん怖いの?」
雅「違う!!怖くなんかないもん!!しょーちゃんの方がビビってるくせに!!」
翔「び、ビビってないよ!!」
智「ボクはちょっとだけ怖いけどな〜」
雅「え…」
サラっと怖いと口にした智にぃは、俺が本音を言いやすいように気を使ってくれていたのかもしれない。
この時強がっていなければ、あんなに大事にはなっていなかったのかもしれないなぁ…
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作者名：ちさ
| 作成日時：2014年6月28日 23時
