パパが治してあげようね *ARS* 12 (ページ35)

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夏の思い出　11 ページ35

智Side

火傷騒ぎのあと、みんなでよく冷えたスイカを食べながら花火をした。

お風呂にも入り終わって、今はリビングに布団を敷き詰めているところ。

普段は自分の部屋で寝ている僕らも、今日は特別な日だから。
最後の最後まで、楽しんでもらいたいからね。

「和ちゃん、もちろん俺の隣だよね～」

いきなり、そう声を貼り上げたのは、ホタテを丸呑みしたドジっ子さん。
短パンがずり落ちそうなほど、張り切って布団を運んでいる。

和「ヤダよ俺。風呂で目に泡入れられたもん」

雅「それは和が目をつぶってなかったから～
身体も洗ってあげようと思ったのに、怒るしさぁ」

和「身体くらい自分で洗うわ、変態!!」

喧嘩みたいなことして、なんだかんだで仲がいいこの2人。
さっきも一緒にお風呂に入ってたんだ。

といっても、和が望んだわけじゃなくて雅紀が強引に。
いきなり素っ裸でお風呂に突入されたら、一緒に入るしかないもんね。

無理やり追い出さないところをみると、和も満更でもないのかもしれないけど(笑)

雅「じゃあ翔ちゃん、俺の隣～」

翔「え?あぁ…」

雅「翔ちゃん、聞いてる?しょーちゃん、しょーちゃーん!!」

翔「なんだよ、まさ、まさ!!聞こえてるって(笑)」

ソファーに座ってぼーっとしていたのか、反応が悪かった翔に雅紀が名前連呼攻撃。

翔ちゃん和ちゃんって『ちゃん呼び』する雅紀に、みんなで「テンションたかっ」って大笑いした。

もちろん、潤も雅紀の標的に。
なぜか僕だけは『智にぃ』のままだったけどね。

「俺だって兄貴なのに、なんで『ちゃん』なんだ」って翔が文句を言ってたよ。

散々遊んだ後にこれだけ騒ぐのにはちょっと体力を使ったけど、それでもすごく居心地のいい空間には変わりないんだ。

なんだか子供の頃に戻ったみたいで。
遊び疲れてみんなが寝静まるまで、しみじみとそんなことを考えていた。

智「どした?どこいくの?」

そんなとき。ふと感じた人の動く気配。
目を開けた時に見えた後ろ姿で、すぐに誰だかわかったよ。

男の僕でも惚れるほどの筋肉質な背中。
そして、温かい雰囲気を醸し出す優しい傾斜の肩。

智「ここに座りな?」

翔「いや、トイレ行くだけだから…」

智「いいから。大丈夫、僕しか気づいてない。
わかってるから…ね?」

そこまで言うと、驚いたような顔をしたあと、無言でソファーに腰をおろした。

翔が必死で隠していたのは知ってる。
僕らに心配をかけないように、耐えてたってこともね。