夏の思い出 8 ページ32
潤Side
そんなに大きなホタテじゃなかったけど、貝類ってけっこう水分があるから焼きたてを食べる時は要注意だと思うんだ。
噛んだ瞬間、あっつい汁が出てくるから。
雅にぃもたぶんそれにやられたんだろうね。
雅「はぁー、熱かったぁ…」
翔「ほとんど噛まずに飲み込んだだろ(笑)」
吐き出しなさいっていう翔にぃの声に気づく余裕もなかったのか、ジタバタしながらゴクンと飲み込んだ様子の雅にぃ。
ホタテ食べたけど超美味かったから、雅にぃも吐き出すのがもったいなかったのかな(笑)
で、俺らも「喉につまらなくてよかったね〜」なんて笑って、一件落着と思っていたんだけど…
なんだか雅にぃの様子がおかしい。
翔「ど、どうした…。おい…雅紀?」
雅「んっ、うっ…いっ…」
下を向いたまま動かないもんだから、翔にぃが慌てだしている。
俺らもちょっとヤバイんじゃないかと思い始め、みんなの顔色が変わっていった。
翔「おい…」
雅「いっ…」
翔「ま、まさっ…」
雅「いっ…いったーーい!!」
翔「っ!!……は、はぁ?」
翔にぃが恐る恐る手を伸ばしたとき、急に顔を上げた雅にぃは大騒ぎ。
予想外のことに固まっていた俺達も、大きな声で騒ぐ姿に窒息でないとわかって大きく息を吐き出した。
翔「マジびっくりした…。
で、どうしたの。どこが痛いって?」
雅「皮むけたっ、やけどしたー!! うぅっ」
どうやら口の中を火傷してしまったらしい。
そりゃあれだけ熱いものを食べればそうなるよね。
翔「あんまり舌でいじらないほうがいいよ。
気になるかもしれないけど触れると痛いだろ?」
雅「でもっ、ここがっ!!皮がっ!!」
翔「上のところが痛い?
まぁ、これだけ元気なら大丈夫だよ(笑)
潤、雅紀のこと診てやってくれる?」
潤「あ、俺? いいよ。雅にぃ、ちょっと明るいところ行こう」
俺もこれだけ大声出せるならそんなに心配ないと思うけど。
念のため診てやってくれって。
俺が口の中の専門ってのは間違いないけど、火傷なら翔にぃでも診れるじゃんね。
痛がってる雅にぃって、いろいろと大変なんだもん(笑)
潤「はい、これ口に含んで?
冷やしてから診てあげるから」
氷水を作って口に含ませ、そのうちに手袋やらタオルやらを集めてリビングに戻ってきた。
そしたらさ。
潤「おわっ…何やってんの(笑)」
明らかに入れすぎだろってくらいほっぺたがパンパン。
確かに水を口に含めとは言ったけど。
そんなに溢れそうなほど入れないでよ(笑)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2014年6月28日 23時
