転生したらトカゲだったⅡ (ページ35)

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真っ白な雪

雪解け水を吸って黒く染まる木々は静かに風に揺られて存在感を出している。

ザクザクと雪の積もる道を駆け抜けるは小さな体

？｢はぁ…はぁ…！｣

息も絶え絶えなまま走り続けるには限界があるようでその場に倒れると心の中を侵食するのは恐怖と絶望だった。

ドスン…ドスン…と辺りに響く低い音にビクリと肩を鳴らし後ろを除けば自分が通ってた道を辿って来るように近づく黒く大きな影

？｢もぅ…ダメ……助けてっ…！｣

『人里離れた雪野原

捉えたるは噂の野獣

兎か熊か…否、その得体は

雪に血を塗る羅刹なり』

声が聞こえた

麗しくいつまでも聞き続けていたい美しい声は詩人のように詩を唄いながら雪道を歩き、倒れる者の前に立った。

『このような場所で倒れてしまうとは…余程長い距離を逃げ続けたのですね。』

よく頑張ったと優しく笑って頭を撫でる仕草は天使のよう

しかし、彼女の片手に握られた刃がギラりと光ると体を震わせた。

『さてと…君は私の仲間と一緒に安全な所まで逃げてください。

大丈夫、私の仲間だって実力者ですから』

その瞬間現れたなにかに驚き腰を抜かすと、天使は笑っていた。

『ぴくとさん怖がらせないで下さいよ〜』

ぴ｢そんなつもりはなかったのに…｣

大きなマントを羽織り深くフードを被っているせいでその者の詳細は分からないが、低い声からして男であることしか分からない。

ぴ｢気をつけろリューコ…白兎獣ウルクススは常に距離を縮めてくる厄介なモンスターだ。｣

『わかってますよ…ちゃんとアイツの弱点も全部知ってます。』

フードを脱ぎ赤い艶髪をなびかせる彼女の頭には黒く渦巻いた羊角が2本生えていた。

彼女の名前はリューコ

人間のように感情豊かで、獣のように強い者