226 ページ26
しろじいに呼び出されたけど、まだやりたいことがあると言って私は青の開拓地に留まっていた。
たまたま条件をクリアしていたらしく、グランドピアノが作れるようになっていたからそれを作って城のロビーに置くことにした。
もちろん皆それを喜んで、鍵盤に触れたりしていたけど弾ける者は少なかった
だから皆がいない夜中に私がこっそり弾く程度でそれを聞く者もまたいない
前世に好きだった歌う機械少女達の曲を思い出して曲調を弾いていると、誰かがやってきた。
プ「すっ素晴らしい…っ!
まさか曲までも作り出してしまうなんて吟遊詩人である僕のアイデンティティが無くなってしまう!」
そう…プットだった
こいつ吟遊詩人を名乗っておきながら、歌う曲はどれも酷いもので才能はあるのかと思えてしまうほど
あれだ…声はいいのに歌は下手なやつ
『あらプット
せっかくだから私にとっての特別な曲達を教えましょうか?』
なんて明るく言えばもちろん喜んで!と言って私の隣に椅子を置いてピアノで奏でるメロディを真似するように歌ってた。
プ「不思議な感じがします…全く新しいのにすぐに体に馴染んでいくようなこの感覚が楽しくて仕方がないです!」
『それが音楽だよ
楽しめるなんてプットやるわね』
素直に褒めていると、恥ずかしいからやめてくれと言われてしまった。
誰も話さない静かな時間が流れて痺れを切らしてただひたすらにピアノを弾いているとそれはいつの間にか前世で聞いた失恋曲ばかりを弾いてる指になってしまった。
プットは耳が良い…だからこれら全てが悲しい曲であることにすぐ気づいた
プ「…先程から随分と悲しい曲調が流れますが
やはりシドーさんのことが気になるのですか?」
全く…こういう時に限ってプットは歌わずに正面から話をしてくる
ピタリと演奏の手を止めて私は考えた
こういう時…どうやって返せばいいのかとか色々と考えて頭の中がぐちゃぐちゃになってきた
そして血迷った私は愚痴を零すかのように呟いてしまった。
『…皆してシドーの話をしないでよ』
その瞬間、プットは申し訳なさそうな顔をして謝ってきた
謝るくらいなら聞いてこないでよ…ただそう思ってしまったのだ。
気分が悪い、さっさとしろじいに会ってしまおうか。
19人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かね(プロフ) - 更新楽しみです!!!!!!((o(´∀`)o))ワクワク (2021年5月5日 6時) (レス) id: 701aebc5e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年4月28日 13時