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百七十六話 ページ28

『もうりんごとかいいから無事に帰って来てくれないだろうか…』

数「それ5回目ですよ…乱太郎なら大丈夫ですよ。土井先生に立花仙蔵先輩に鉢屋三郎先輩もいるんですから。」


乱太郎がりんごを探しに行ってもう半日が経った。

心配ばかりが頭の中に残り、そわそわと辺りを見渡しては俯くを繰り返している私に数馬も少しずつ辛辣になってきた。

少し大人しくなって寝るとしよう…そう思い目を閉じようとしたその時だった。








乱「A先生!いらっしゃいますか!?」


勢いよく戸が開かれて小さな体の少年が部屋に入ってきた。


『乱太郎…!無事に帰って来たのか。』


良かった…と胸を撫で下ろして近づいてきた乱太郎の頭を優しく撫でると、嬉しそうに目を細めた。


乱「そうだ…これを食べてください!」

『…!

本当にりんごを取ってきてくれたのか。』


目の前に差し出された真っ赤なリンゴに目を見開くと、少年の努力に胸が打たれる。


乱「森で出会ったお姉さんにりんごを譲って貰ったんです。

そのりんごと同じ位赤くて綺麗な髪の毛の方でした!」


赤い髪の毛…いや単なる偶然か

私のお母さんも綺麗な茜色の髪の毛だったからつい脳裏に浮かんだが、全くの別人だろう。


数「とにかくそのりんごを食べましょう。

食堂のおばちゃんに切ってきてもらいますね」

『…いや、私が切るよ

今皿と包丁を出すから待っててくれ。』


懐から2枚の鱗を剥がして望む物に形を変えると、乱太郎に手を伸ばした。

差し出されたりんごを受け取り皮を剥いていくと、1本の皮が出来上がっていく。

一切れずつ食べやすい大きさに切り取り、種の部分を取り除くと皿に置いた。

思い出す…お母さんがこうやってりんごを剥いている所を幼かった私はじっと見つめていたな。

私もお母さんみたいになりたくて皮を剥く練習を繰り返して、中学に入った頃にはようやくまともに剥けるようになったっけか…。


『さてと…2人も食べな

少ないから私達だけの秘密ね』


しぃーと口元に人差し指をつけて内緒だと言えば、乱太郎は何かを思い出していた。




乱「A先生…あのお姉さんに似てますね。」

『えっ…?』

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またたびはまた(プロフ) - Nekoさん» コメントありがとうございます。これ実は自分で彼の部分を名前変更で変えることが出来て自分で好きな結果に出来るようになっています。変なオチでごめんなさい! (2022年12月11日 8時) (レス) id: 0846684c6a (このIDを非表示/違反報告)
Neko(プロフ) - オチは誰ですか? (2022年12月10日 23時) (レス) @page47 id: dd386e9727 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - すごく面白くて、すごく切なくて、本当に心を動かされる作品です。続きが早く読みたくて読みたくて😖更新、楽しみにしています! (2021年12月31日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
ねこさん(プロフ) - あ(察し)ヤバイやっちゃ。これこの後どうするんでしょう?待って続きがめちゃくちゃ気になります!!どうやって来たよ(糞)ドクター兼(元)勇者様よぉ(#^ω^) …これで間違ってたら恥ずかしさのあまり燃えつきますね。 (2021年12月2日 10時) (レス) @page16 id: ab4164b541 (このIDを非表示/違反報告)
ねこさん(プロフ) - お"があ"ざん"…。ええ話や。( ;∀;) …続き (2021年11月30日 10時) (レス) @page15 id: ab4164b541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年10月24日 23時

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