百四十九話 ページ1
僕は天女様のお気に入り
天女様は僕をとても気に入って愛してくれた
酷く重く熱くこの身を焦がす程に愛してくれた
愛せば愛されるほどに僕は自分を失ってく感覚に襲われてしまったんだ。
僕を蝕むものはあまりにも厄介で指一本動かすことも億劫になるほどで時間だけが経っていくのが嫌で仕方がない。
そう思えるようになったのはある時を境にだった。
__目を覚ましなさい!綾部喜八郎っ!!
ガンッ…と頭に響くその声はあまりにも力強く、そして痛くてその感覚だけに集中した。
天女様に愛されてから初めて変化に意識を向けることが出来た気がする。
…が、すぐにその意識も失っていった。
僕の体を巣食うものは次第に弱り消し去られていき、いつの間にか閉じられていた重い瞼を開けることができる。
僕は一体今まで何をしていたのだろうか?
早く目覚めないと
僕に触れてくれているこの暖かいそれを手放さないためにも
さてと…どうしたものか
『何故こいつは私の手を離さないのだ?』
保健室に連れてくるまでは担いでもこんなことなかったのにいざ降ろして離れようとすれば急に手をしっかりと握って離してくれないのだ。
これでは額にできた傷の治療が出来ないではないか
『あ〜…伊作、悪いがこいつの手を離してくれないか?
私がやるとこいつの手が折れる』
伊「有り得そうなこと言わないでくださいよ…。
よっ……あれ?ふんっ…!
A先生、本当に喜八郎は意識を失っているんですよね?
信じられない程に強い力で握っているんですけど」
なんということだ…人間というのはすごいなぁ
手が離れないのならそのままにしておきたいのだが流石に治療の邪魔である。
本当はやりたくないが…仕方がない
『伊作、仙蔵と滝夜叉丸を追い出せ
私がこいつの治療をやらないと出血のし過ぎでこいつしばらく目覚めないぞ。』
伊「…!わかりました。
仙蔵、滝夜叉丸…今から治療するから外で待ってて」
私の言う通り2人を追い出す伊作に感謝しながら私はたすき掛けをして袖が邪魔にならないようにした。
まずは額の傷を治すため…尊奈門の時よりも再生力は弱くていい。
弱く…弱くを意識して頬を撫でると優しい光が彼を包み込んだ。
とりあえず包帯でも巻いておくか
意味もなく額に巻かれた真っ白な包帯を見つめては握られた手に目を移す。
こいつもまだ餓鬼なんだな…
ふとそう思ってしまった瞬間だった。
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またたびはまた(プロフ) - Nekoさん» コメントありがとうございます。これ実は自分で彼の部分を名前変更で変えることが出来て自分で好きな結果に出来るようになっています。変なオチでごめんなさい! (2022年12月11日 8時) (レス) id: 0846684c6a (このIDを非表示/違反報告)
Neko(プロフ) - オチは誰ですか? (2022年12月10日 23時) (レス) @page47 id: dd386e9727 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - すごく面白くて、すごく切なくて、本当に心を動かされる作品です。続きが早く読みたくて読みたくて😖更新、楽しみにしています! (2021年12月31日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
ねこさん(プロフ) - あ(察し)ヤバイやっちゃ。これこの後どうするんでしょう?待って続きがめちゃくちゃ気になります!!どうやって来たよ(糞)ドクター兼(元)勇者様よぉ(#^ω^) …これで間違ってたら恥ずかしさのあまり燃えつきますね。 (2021年12月2日 10時) (レス) @page16 id: ab4164b541 (このIDを非表示/違反報告)
ねこさん(プロフ) - お"があ"ざん"…。ええ話や。( ;∀;) …続き (2021年11月30日 10時) (レス) @page15 id: ab4164b541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年10月24日 23時