【d!】全ては我が主のために (ページ12)

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その10 ページ12

それにしてもこいつ…いつになったら帰るんだ？

カレー食べ終わった後もハンカチに刺繍を入れている私の手をじっとみている

なにか話題を考えないとな〜と思っていたその時私はあることを思い出した。

〈そう言えば、私あなたの名前知らない〉

シ〈ああそうでしたね…

俺、ショッピって名前です〉

なるほどショッピね…歳は多分私よりも上だろうね

私はなんて答えるか…ここで本名を明かしたら日本語で話しかけてきそう

ここは偽名を使うか

〈…アルヒ

アルヒ･レイニーよ〉

我ながらいい偽名を思い浮かんだよ

アルヒはポケモンゲームの主人公の名前が｢あひる｣だからそれの文字の位置を入れ替えてアルヒ

レイニーは完全に雨宮の雨を英語にしただけだ

シ〈アルヒさん…覚えました

それにしても凄いですねそのハンカチ〉

君はコミュ力が高いのね…だったらなぜ話しかけてこないんだ

それにしても、アルヒさんって…絶対君の方が年上でしょ

〈これは2日後に近くの村に売るためのハンカチです

その日に特注のハンカチを作るためにある人に会わなきゃいけないの〉

そう言えば、あの軍人さんの名前を聞くのを忘れてた

まあ明後日会う時に聞けばいいか

なんてことを考えながら刺繍を入れていると、ショッピさんは椅子から立ち上がった

帰るのかな？

だったら送っていこう

〈どこに帰るのですか？

森の出口までなら送りましょう〉

〈…助かります〉

いくらこの名無しの森に獣が少ないからと言っていない訳では無いからね

獣避けの鈴を持ってランプに火をつけると私は彼と一緒に外に出た

シ〈あんな所に一人で暮らしているんですか？〉

〈まあ寂しさはありますけど慣れますよ〉

おしゃべりしながら歩き続けると見えてくるのは村の明かり

良かった…ここならショッピさんも帰れるだろう

私はたまたまポケットに入っていたスミレの花の立体刺繍の髪飾りを手に取ると、私はそれを彼に渡した。

〈それ、素敵な女性にプレゼントしてあげてください〉

シ〈すっげぇ…全部糸でできてる〉

まあそれだけじゃなくて洞窟で見つけた鉱石も埋め込まれてるけどね

私はにっこりと笑って森の中に入って行った

じゃあねショッピさん

また会える日がありますように