肆拾参の目 ページ43
カナエさんの義手を点検してあやとりの紐を渡したし今日からしばらくはここに来るのをやめよう。
『次来ることはありません。アオイちゃんにも点検の仕方や義手の故障例は教えましたし、何かあれば僕よりも鍛冶の里の者に連絡するのが先決かと思います。』
そう言えばカナエさんは寂しそうな顔をした
また何時でもここに来てくれて構わないとか怪我したら必ず来いとか言われたけど丁寧に断ったり出来るだけ怪我をしないようにすると言った。
『自分の立場を考えれば蝶屋敷にいてはいけないという結果になりますよ。
それにあなたの妹さんがヤキモチを焼くかと』
俺は知ってるからな
毎回義手の点検に来ればしのぶさんが超がつくほど不貞腐れているのを
それに1人置いていかれるのが寂しいのだろうな
彼女は柱にふさわしい器を持っている…はずなのに何故か心が追いついていないのだ。
それとも俺というイレギュラーがカナエさんと生還した事が理由になるのだろうか。
『では僕はここで…失礼します。』
｢待って…Aくん！｣
去ろうとしたら後ろから俺を制止する声が聞こえてつい足を止めてしまった。
やっぱりカナエさんはあの日を境になにかが変化しているのは気づいていた。
だからこそ見て見ぬふりをしなければならない、でないと俺がどうにかなってしまうから。
『俺にはやるべきことがありますから…またいつかお会いしましょう。』
にっこりと笑って彼女の右手を持つと小指同士を絡ませて軽く上下に振った。
『これで必ず会えます、約束しましたから。』
そう言って今度こそ方向転換をして屋敷を立ち去ると門の角に隠れる小さな影があった。
何も変わることの無い鋭い目付きとキツめに結われた髪の毛
姉の生存により羽織は着ておらず一般隊士と変わらぬ姿に新鮮味を感じる。
『…今まで僕がしてきた事を深くお詫びします。
そして今後は僕からこの敷居に入ることはありません。』
ごめんなさいと言っても許さないだろうな思いながら頭を下げるが、すぐに顔を上げてくれと言われてしまった。
｢私の方こそごめんなさい…あの時は姉を傷つけられた事に怒りが込み上げてぶつける先を間違えてしまいました。
あなたは姉の命の恩人なのに…｣
それは悲しそうな顔をするから俺はその後どうする事も出来なかった。
ただお互いにごめんなさいと謝りながら蝶屋敷を出た時には日が傾きかけていたのは覚えていた。
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雪見だいふく - これから読み始める者です。私は成り代わり系はあまり読まないタイプですが、夢小説を探していた時タイトルからして面白そうだと思い誰の成り代わりだ〜？と思って開いた瞬間サイコロステーキ先輩の顔面が出てきてこれは面白いと確信しました。更新頑張ってください (2022年12月14日 19時) (
レス) id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
猫猫 - あの〜すみません…お館様の妻の名前ってあまね様だと思うのですが……とっても面白いです！！！！！これからも頑張ってください！！！！！！ (2022年7月26日 7時) (レス) @page16 id: f29fbd18bf (このIDを非表示/違反報告)
猫さくらもち - サイコロステーキ先輩の小説だと、、、！？！？え？作者さんの着眼点が素晴らしすぎる！！ (2022年7月17日 7時) (レス) id: f692ce80b7 (このIDを非表示/違反報告)
宮 村 。(プロフ) - 初コメ失礼致します！すごく好みすぎる作品です…続編楽しみにしております！！ (2022年7月12日 15時) (レス) @page50 id: e0cd2bb1c0 (このIDを非表示/違反報告)
本が大好きなハリネズミ(プロフ) - サイコロステーキ先輩の成り代わりの小説があるなんて…！とても面白いです､これからも頑張ってください！ (2022年6月18日 23時) (レス) id: 73a477d291 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：またたびはまた | 作成日時：2022年5月24日 13時
