参拾捌の目 ページ38
自分の部屋で茶を飲みながら少し寛いで私服に着替えていた時だった。
まさかの担当鍛冶師さんの来室に目を丸くした。
「先程宿の者から廊下を掃除してくださって疲れていると連絡が来ましてね。
お邪魔することにしました。」
わざわざここまで来てくれてありがたいのはあるのだが…廊下の拭き掃除程度で疲れはしない
呼吸の常中をしていれば尚更だ
とりあえずここまで来たこと、そして刀の点検をしてくれたことに礼を言って一緒に食事でもしないかと提案した。
しかし鍛冶師さんはまだ仕事が残っているからと丁寧に断ってそそくさと出ていってしまった。
時間が無い中わざわざここまで来てくれたのか…余計に申し訳ないな。
次の日、俺は刀身の美しい俺の刀をじっくりと見て深く息を吐く
ふと、俺はこの世界に七年もいるのかと思い返してしまった。
俺というイレギュラーの影響は凄まじいようで本来死ぬはずだった人物の生存が他の者にも影響を与えていた。
錆兎は義勇に、そしてカナエさんは妹達に…
せっかくの命を無駄にさせない為にも、そして俺自身が生きる為にも原作の運命に抗おう
それに俺は俺自身が無意識に設定した壁を壊して先に進む
いかん…少し熱くなってしまった
湯のみの茶を飲んで再度心を落ち着かせると立ち上がった。
飯食って少しばかり鍛錬するとしよう
そう思い廊下をふらついている宿の関係者に食事を貰えないかと言えばすぐに用意すると言ってパタパタと走り去ってしまった。
『さてと…』
「Aくん…っ!」
襖を閉めようと手をかけたその時、俺の名を呼ぶ可愛らしい声に耳を傾けた。
それは花の香りが心を落ち着かせる美しい女性
蝶の髪飾りをつけて艶のある長髪を揺らしながらこちらに駆け寄る姿があまりにも愛らしい
『(……って俺なに考えてるんだよ!)』
目の前でモジモジと恥ずかしそうにしているのが余計に可愛い…じゃない
『カナエさん?隠の方はどちらへ?』
「1人でここまで来たの。あの…その……」
こんなにも恥ずかしそうに頬を赤くして更には上目遣い…こんなのやられない方がおかしい
「一緒にお食事はどう…?」
『……ハイ』
ついこちらも萎縮してか細い声になってしまった。
やったぞ皆…俺、美女に食事誘われた!
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雪見だいふく - これから読み始める者です。私は成り代わり系はあまり読まないタイプですが、夢小説を探していた時タイトルからして面白そうだと思い誰の成り代わりだ〜?と思って開いた瞬間サイコロステーキ先輩の顔面が出てきてこれは面白いと確信しました。更新頑張ってください (2022年12月14日 19時) (レス) id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
猫猫 - あの〜すみません…お館様の妻の名前ってあまね様だと思うのですが……とっても面白いです!!!!!これからも頑張ってください!!!!!! (2022年7月26日 7時) (レス) @page16 id: f29fbd18bf (このIDを非表示/違反報告)
猫さくらもち - サイコロステーキ先輩の小説だと、、、!?!?え?作者さんの着眼点が素晴らしすぎる!! (2022年7月17日 7時) (レス) id: f692ce80b7 (このIDを非表示/違反報告)
宮 村 。(プロフ) - 初コメ失礼致します!すごく好みすぎる作品です…続編楽しみにしております!! (2022年7月12日 15時) (レス) @page50 id: e0cd2bb1c0 (このIDを非表示/違反報告)
本が大好きなハリネズミ(プロフ) - サイコロステーキ先輩の成り代わりの小説があるなんて…!とても面白いです、これからも頑張ってください! (2022年6月18日 23時) (レス) id: 73a477d291 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたびはまた | 作成日時:2022年5月24日 13時