[ポケモン]捨て子から始まる異世界転生物語Ⅱ (ページ20)

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七十話ページ20

壁伝いに移動して外に出ると、ゴウカザルがぼんやりと村を見つめていた。

そっか、家は村のちょっと高い丘の傍にあるからゴウカザルだけでなく他のポケモンも丘に登って景色を眺めるのが好きなんだよな。

困ったな…今の私は丘を登るほどの力が残ってるか。

いや、這って移動すれば問題ないか。

『ゴウカザル〜そこから動くなよ』

私の声が聞こえるなり驚いてこちらを見てきたゴウカザル

ウキウキ言ってるけど何を言いたいかは何となくわかる。

慌てて丘から降りてきたゴウカザルに掴まると少しだけ体を預けた。

〈ダメだよ一人で歩き回ったら！

というか中にいる皆は何してるんだよ…〉

いつものゴウカザルらしくない話し方に違和感を覚えたけどこの子なりに心配しているのだと思うと心がほっこりする。

いつの間にかお姫様抱っこされているのは気にしないでおこうか。

炎のたてがみを出来るだけ抑え込んで私に向けないように上を向き、慎重に私を抱きしめているのを見て気づいた。

『あのさ…お前が無理して我慢する必要性はない。

お前は命知らずの勇敢なゴウカザル、ドレディアに対して好奇心が勝ってしまったのはわかるよ。

でもあれが原因で私達から離れるのは嫌だな…』

〈…俺だって嫌だよ

Aが傷ついたんだよ？俺のせいで！〉

だからずっと離れてたのに…と言ってたから馬鹿野郎と罵った。

自分からくっ付いて来て今更離れる？

そんなの認めない、私の仲間になったからには余程の理由がない限り一緒にいてもらう。

『いい加減お前が折れなさい…ゴウカザルが離れる事は許さない

それは私だけじゃない、皆だってそうだから』

ちらりと家の方を見れば陰からひょっこりと顔を出して微笑ましそうに見つめる仲間達

その存在に気づくと同時に目を潤ませているゴウカザルはいつしか私の掌に涙を落として笑っていた。

ほらね、君はひとりぼっちじゃないんだよ