【ハイキュー!!×黒バス】命を懸けた黒子と少女の約束、時々赤司。

28-Departure ページ32

――――――――――――――――――――――――――――――――宮城へ発つ、前日。
例のごとく病室で、今日は征くんに、お別れを告げた。
でも、月に一度、検査の為に東京へ戻ってくることは決まっていたので、それも同時に告げた。
月に一度、一週間の検査入院。
そこしか、征くんと顔を合わせるチャンスはなくなる。
会わない間に、征くんがどう変わってしまっていても、私にはもう、どうすることもできない。

「オレは小父さんや小母さんみたいにAちゃんを置いてどこかへは行かない。」

征くんは突然、私の手を取って、そんなセリフを吐く。
征くんの顔に、笑顔はない。

「Aちゃん、オレはAちゃんのことが好きだから。忘れないで。」

征くんの口元に、薄い笑顔が浮かんだ。
今日ほど恐ろしい、征くんの笑顔はなかった。
征くんが病室から出て行ったあとも、あの笑顔が脳裏に焼き付いて離れなくて。
夢にまで、出てきそうだった。

　明朝早く、徹たちが迎えに来た。
病院を出る度に言ってきた、《お世話になりました》も、もう最後かもしれない。

「……行こうか。」

徹の声が、物憂げに響く。
征くんから贈られたカチューシャ、光ちゃんから贈られたヘアピン、クロくんから贈られた服。
全部身にまとって、徹の家の車に乗り込んだ。
寂しさは、不思議となかった。
貰った想いを、一緒に身に着けていたから、だろうか。
それとも単に、自分で思っているより思い入れが無いのか。

「…………宮城ってどんなところ？」

ふと、半ば無意識に聞いてみた質問には、

「星が綺麗だよ」

と、ロマンティックな回答が返ってきた。

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