23-Vanish ページ27
特別に外出許可が下り、徹に手を引かれ、警視庁本庁の地に降り立った。
来ることのないと思っていた地。
そして、二度と会うことはないだろうと思っていた、彰さんとの再会。
もう、全て現実だと受け入れるほかない、目の前の現実。
真っ白い布にくるまっている、父と母。
同じように白い、二人の肌。
カーディガンの赤が、際立つ。
「……嘘。……嘘だよ……ねぇ。……ねぇ、お父さん……お母さん……ねぇ……」
足に力が入らなくなって、徹に崩れ落ちてしまった。
徹は私を静かに受け止めて、体温を伝えてくる。
「……犯人は、現行犯だったんだ。……ごめん、Aちゃん……」
彰さんの声が、この色の無い部屋に響く。
いわゆる《霊安室》という、死体の一時保管場所。
痛い。
どこかわからないけれど、痛みは感じていた。
「ごめんで……済むことじゃないでしょ、伯父さん！」
徹の、ちょっと低くなった声が、私の背後で真っ直ぐ飛んでいく。
徹が私から手を離そうとしたので、咄嗟に徹の手を掴んだ。
自分では立っていられないのも分かっていたし、何より徹を放っておいたら、彰さんを殴りそう。
「彰さん……徹と二人にしてくれませんか。」
徹とは、特別仲が良い訳ではないけれど。
でも、この場に彰さんに居られるよりかは、私にとって、幾分ましな選択だった。
地べたにへたり込むように座ると、髪が床に着いた。
髪も、しばらく切っていないな、と感じる冷めた自分が居たり。
どうして両親が殺されなければならなかったかを考える、動転している自分が居たり。
今はただ、徹の体温に依存していたいと思う、不安な自分が居たりして。
どうしようもなくなった。
「……徹……ッ私達、どうしてこういう時にしか……会えないのかな。」
涙は止まらなかった。
寧ろ止まってしまったら、人間として終わりだと思う。
「支えあうためだよ。……悲しいことも、辛いことも、二人で分け合えば半分でしょ。」
徹も、ちょっと泣いている様だった。
死んじゃった。
私より先に、父も母も、死んでしまった。
あっけない、別れだったな。
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MIORINE(プロフ) - nanoさん» コメントありがとうございます。続けてほしいと言って下さる方がいらっしゃるので頑張ってみることにしました。 (2014年11月24日 15時) (
レス) id: c4fda7ba0c (このIDを非表示/違反報告)
nano - もう遅いかもしれませんが私は続けて欲しく思っております。まあ1読者の意見ですので続けるかは貴方様の判断で良いと思いますが…(´・ω・`) (2014年11月24日 15時) (レス) id: f0d8cf3aaf (このIDを非表示/違反報告)
MIORINE(プロフ) - 和人孫さん» コメントありがとうございます。本当に長々と続いてしまうかもしれませんが、頑張ってみます。 (2014年11月24日 14時) (レス) id: c4fda7ba0c (このIDを非表示/違反報告)
MIORINE(プロフ) - 夜宇宙さん» コメントありがとうございます。更新改めて頑張ってみることにします。 (2014年11月24日 14時) (レス) id: c4fda7ba0c (このIDを非表示/違反報告)
和人孫(プロフ) - もし、たくさんの時間がかかっても 終わり が見たいです。待ってます。 (2014年11月24日 6時) (携帯から) (レス) id: 4d48cfdd75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MIORINE | 作成日時：2014年10月19日 20時
