紅き翼を持つ天使－イナズマイレブン－ (ページ37)

今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:59,704 hit

第３７話ページ37

レッスンが終わった神童と、俺は建物の外に出た

タクシーが来るまで少し時間もあるからと、俺達は近くの喫茶店に入った

豪炎寺＞神童。

紅羽＞ん？

豪炎寺＞なぜ、俺を誘った？

紅羽＞ここ最近は先生にしか聞いてもらってなかったから。他人の意見も聞いてみたかっただけ。キミくらいだったからね、まともな意見くれそうだったのは。特に円堂なんて、すげぇくらいしか言わなさそうだし。

豪炎寺＞・・・確かにな。

俺が呆れたように納得すると、神童は手にしていたティーカップをソーサーに戻した

紅羽＞で、ご感想は？

豪炎寺＞・・・・・あの先生が言っていた。音楽は演奏者そのものを表してくれる、と。

紅羽＞確かにあの先生、よくそんなこと言うけど・・・。

豪炎寺＞俺もそう思った。今回の神童の演奏を聴いて・・・お前の演奏からは、不安と悲しみを感じた。だが同時に、楽しいとも思っている事がある。俺はそれがサッカーだったら、嬉しいと思う。

紅羽＞楽しい？私が、サッカーを？・・・バッカじゃないの。別に楽しくはない。退屈しないとは思ってるけどね。私、勝負事は好きだから。キミ達が他校とどう戦うのかは、正直に言って興味はあるし見物だなとも思ってる。でもそれだけ。それを楽しんでると勘違いしてるんじゃないの？不安も悲しみも、今の私にはない。

豪炎寺＞“今は”という事は、前はあったんだな。

紅羽＞っ！・・・・・キミ、そういうのは卑怯だと思うな。

豪炎寺＞なら、みんなに話したらどうだ？なぜお前がサッカーを嫌うのか。黙っている事の方が、俺は卑怯だと思うがな。

紅羽＞自分だって妹のこと言うつもりなんてなかったくせに、よく言うよ。それに、随分と知ったような口を利くんだね。まるで昔の私を知ってるみたいな・・・そういえばキミ、前も私を知ってるみたいな口振りで話してたけど・・・？

豪炎寺＞・・・お前が覚えていなくても、俺は覚えている。４年前、お前に何があったのかも知ってる。

紅羽＞！？

豪炎寺＞いつまで目を背けるつもりだ？向き合わなければ、前には進めない。それを俺に教えたのはお前だ。お前がサッカーをやめたって前に進む事はできない。

紅羽＞ボクの事なんにも知らないくせに、知った風な口利くな！！

怒鳴った神童が、両手をテーブルに叩き付けながら立ち上がった

そのまま伝票を引っ掴むと、駆け足で店から出て行く

・・・今度こそ、嫌われたな

だが、あいつが前に進めるのなら

俺はそれでも構わない