Challenge 2【Sho 絆】

72 H.S ページ26

廉は、食い下がらない。それだけ、俺の事を本当に心配に思ってくれているのだ。

まさか......よりにもよって、廉の前で、あの発作が起こってしまうなんて。何たる失態か。

正直......つらい。隠すのが。

困っていると、清水さんが来てくれた。



清「＿＿ですからここは。私に任せてくださいませんか。平野さんのマネージャーなんですから。大丈夫です。後で診断書をちゃんとお見せしますから。それならいいでしょう？」

n「......わかりました。紫耀を、お願いします......」

清「はい、勿論」

n「紫耀！ちゃんと.....後で、教えてな？」


何とか渋々、廉は頷いてくれたけど。でもまだ、諦めてない。俺から真実を聞き出す事を......。
そのっ真っ直ぐな、真剣な廉の瞳に、俺も頷いてしまう。


そうして俺は、廉の視線に見送られて、清水さんによって担がれたまま進み出した。




h「ちょっ！清水さん！もう降ろしてって！」


流石に恥ずかしいし、もう大丈夫だし。こんなのいつもの事じゃん。今更こんな事してもらうまでもない。

というか......


h「病院行くの、嘘でしょ？」

清「勿論」


平然と言ってのける。まあ俺もわかっていたけど。

病院に行ったってこの身体は良くならない。だって、逆行と運命改変による代償という、特殊なものだから。
それに......病院なんかに行ったら、それこそ俺は一貫の終わりだろう。みんなに俺の身体の不調が明らかになってしまう。そして、きっと入院、と病院に閉じ込められ。みんなの救出作戦は叶わなくなってしまう......。


俺が耐えるしか無いんだ。あと、一週間＿＿。


とはいえ。やっぱり、罪悪感で胸がちぎれそうだ。

本気で心配してくれる廉やみんなに嘘をついて。単なる裏切りだ。みんなを助ける為だと言うけど、だからってこれは本当に、いいのか。本当に、自分のしている事は正しいのだろうか？いや、そんなはずない＿＿。もう、訳が分からなくなる。

みんなの為と言いながら。でも実際は、孤独に耐えかねた自分の為じゃないのか＿＿？


清「平野さん」


その時、清水さんに呼ばれた。


清「これを......」


見ると、彼は俺へとある物を差し出していた。


それは、小さな瓶だった。

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