101 H.S ページ4
「うっ......」
もしかして＿＿！！
顔をあげれば、呻き声を上げて僅かに身じろいでいたのは、貴弘だった。
h「ッッけほ......貴弘ッッ！！」
喉の痛みも無理矢理押し込んで叫べば、今度こそ、目を開けた。
達(貴)「......え、しょお、くん......？」
打った頭が痛むのか、手で抑えながら、周りを見渡して、「え......」凍りついた。
僅か数メートル先には、激しく燃え立つ炎。
そして、俺の近くに、倒れる達弘の姿。
達(貴)「ッッ兄ちゃん！！なんでッッ＿＿！！」
完全に意識のない兄に、泣きそうな声で駆け寄り、その身を起こした。
パニックに陥ったように「え、ねぇ、どうして」を繰り返しながら、俺に助けを求めるように目を向けられる。
俺だって動けるもんなら動いて助けたいよ......。
思うように出来ない自分がもどかしくて仕方ない。
h「ッッけほ......瓶......」
その言葉で、ようやく目の前の睡眠薬と表示された空瓶に気付き、「ッッふざけんなよ......！！」と憤った。
多分これで彼には、眠っている間に何があったのか、大方予想がついたと思われる。
急いで七瀬さん＿＿達弘の上着のポケットを漁り、携帯を取り出した。
その貴弘は、今は憎しみや復讐などといった感情は何一つ見られなかった。
ただただ、兄を助ける、という思いが彼を突き動かしている。
慌てながらも急いでどこかに掛ける電話。
きっと、もう大丈夫。そう思った。
＿＿けれど、燃え立つ炎は待ってくれない。
どんどん炎の面積は広がり、俺達は追い込まれる。
このままじゃ、間に合わない......。
ここにいたら、間違いなく、焼かれて死ぬ__。
h「ッッはぁ......他に......逃げるとこ、ないのか......？」
達(貴)「＿＿ないってッッ......ここは元々、ただの空き家なんだ......それも、だいぶ昔の......」
顔を強ばらせて言う声は、絶望的だった。
俺もそれを聞いて、本当にもう、手立ては無いのか......！？と床を見つめる時だった。
達(貴)「＿＿あ！！一つ、ある......！！」
突然、閃いたように声を上げた。
だが「でも......」とすぐに暗いものとなってしまう。
達(貴)「人が一人通れるかどうかの、かなり狭い窓なんだ......しかも＿＿」
と目を向ける先は、よく目を凝らして気づく。
階段だったのだ。
よくもまあこんな古くて狭い家なのに階段なんてあるな。
h「ッッでも、お前は、このままで......いいのか！？」
達(貴)「ッッ......！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「病系」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ありす(プロフ) - まいさん» ありがとうございます！できる限り更新頑張りたいと思いますので、またこれからもよろしくお願いします♪ (2019年1月18日 20時) (
レス) id: efc5b55c14 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 毎日更新楽しみにしてます！これからも頑張って下さい！ (2019年1月18日 19時) (レス) id: e804b3a6cb (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - ruikaさん» ありがとうございます！頑張る糧に繋がります(；▽；)これからもよろしくお願い致します♪ (2019年1月13日 11時) (レス) id: efc5b55c14 (このIDを非表示/違反報告)
ruika - ありすさんこんにちは！いつも更新楽しみにしています！なんか感動しちゃって(T . T)これからも更新頑張ってください（≧∇≦） (2019年1月13日 11時) (レス) id: 7a2fe05ae2 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - ひらの だいきさん» ありがとうございます！本当に嬉しいです。この調子でなるべく毎日更新できるように頑張りたいと思います！ (2019年1月10日 22時) (レス) id: efc5b55c14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ありす
| 作成日時：2019年1月6日 20時
