ルージュの指輪 (ページ35)

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Garnet ページ35

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「今の忘れて。」
「…無理やと思う。」

目の前で頭を抱える駿佑に一安心している自分がいた。
これも一種の独占欲なのかもしれないけれど、
1歩先で手を引いてほしいとは思わなかった。

あくまで私たちは同じペースで、並んで歩きたい。
置いていかれるのは嫌だった。

「嬉しいことは忘れたくないやん。」
「次はやらんようにする。」

別にいいのに。とは言わないでおく。
やっぱり男の子はカッコつけたいものなんだろうか。
よく分からないけれど。

「ケーキ食べよ。」
「ええよ。せっかくやし一人で食べて。」
「なんで。シェアやろ。」

「A、ケーキ好きやん。」
「好きやで？」

意味が分からない、というような顔を向けた駿佑と
おそらくニコニコ顔の私。

…めっちゃ良いこと思い付いた。

「はい、あーん。」
「え、」
「せっかくなら2人で食べたいやん？」

「俺、フォークあるから…」
「さっき下げてもらったやん。」
「…」

「あとで覚えとけよ。」

真っ赤な顔をして私を見つめる彼に
やりすぎたか。なんて思う。

でも、こうでもしないと照れ臭さに負けてしまう私には
ギリギリのラインだった。