ルージュの指輪 (ページ34)

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「…返事貰ってない。」
「なんの？」
「告白。」

「え、どういうこと。」
「付き合ってるフリ、やった。」

「変なタイミングやな」って言いながら
長尾は笑って聞いてくれた。

成り行きで喧嘩して、
思わず気持ちを伝えたこと。
その返事が未だに貰えてへんこと。

正直、めっちゃ気にしてた。

「断られたわけちゃうんやろ。嫌やったらとっくに言われてるわ。」

その、気前の良さとか。
臆せずに何でも行動に移せるところとか。
同い年のはずやのに達観してるように見えるのは何の違いなんやろ。

「みっちーはもっと自信持たなあかんよ。」

やっぱ経験とか、そういうもんなんか。
よくよく考えたらいつも助けられてたんかもしれんな、
なんて。

まだ言うのは照れくさかった。

「まぁ、気長に待つわ。」
「振られたら俺が慰めてあげるわ。」
「振られへんことを祈れよ。」

「いやー、祈るほどちゃうやろ。てか祈らんでええわ。」

「なんでやねん。」
「祈らんでも大丈夫やろ。」

変に背中を押すその言葉は、いつも外れたことは無かった。