ルージュの指輪 (ページ22)

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「…はい。」
「こないだはごめん。話したくて来た。」

次の日
学校帰りに押した二つ隣のインターホン
少しの気持ちを込めて買ってきたお菓子を片手に、深呼吸をしてドアが開くのを待った。

「…A、」
「急にごめん。」
「上がって。」

ほんの一週間。それだけなのに久しぶりに会った彼は少しやつれているように見えて。心配になった。

「散らかっててごめん、ちょっと片付けるわ。」
「いや、別にええよ。」

「…ごめん。」

片付けの苦手な彼のことだから、こうなっていることは予想が出来た。手伝おうと手を動かし始めた私にかけられた言葉は震えていて。思わず顔を上げると、泣きそうな顔が目に入った。

「俺、いつも自分のことばっかりで。Aの気持ち考えてなかった。」

「いや、今回は私が悪いんよ、ごめん。」

「俺、Aおらんとあかんねん。」

初めて聞いたその弱音は、実はずっと抱き続けていたものだったらしい。うずくまったまま零しているのは、耐えられなくなった本音だった。

「…嫌いにならんといて。」

アヤちゃんと仲良く話してるのを見た時に感じたのは、多分駿佑が私に対して感じたものと同じやったんやと思う。

「私、アヤちゃんが羨ましかった。私の知らん話で盛り上がってたら、嫌やなって。」

「あれは、」