ルージュの指輪 (ページ13)

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「元々、幼馴染やねん。」

他の人の前では"恋人"だという体で話していた。
だから私は彼氏がいる扱いだし、恋愛相談をされることもあって。その度に複雑な気持ちになった。私がしているのは本当の恋じゃないのに。

「夏祭りの後に告白されて、それからずっと。」
「ええやん。こんな可愛い彼女、俺も欲しいわ。」
「高橋くんやったら彼女すぐ作れるやろ。」

「残念。彼は中身がポンコツなので、女の子が離れていくんですねぇ。」

「俺の顔見れへんくなるんちゃう？イケメンすぎて。」
「私は見飽きたわ。近すぎてレア度が下がる。」

こんな話をする度に、終わらせなきゃいけないと思う。
私が言わなければずっとこのままズルズル続いてしまうということも。

「Aも耐性ついてるやろ？プリンスで。」

「A？」
「あぁ、まあ、うん。」
「俺の顔見てもなんも思わん？」
「イケメンやと思うで。」

「うわ、浮気や。」
「イケメンはイケメンやもん。」

いっそのこと、違う人を好きになってくれたらいい。
それなら何の罪悪感も湧かないのに。

そんなことを考えていた私を、目の前の彼が見透かすように見ていた。彼はこんなことで悩まないんだろうと思った。