ルージュの指輪 (ページ2)

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私たちが今の関係を始めたのは、とある夏の日だった。

恒例となった花火大会の帰り。
賭けに勝った彼が口にした「恋人になろう」という言葉。

恋人になって、思い出を沢山作る。

間違いなく彼の口から出た言葉だったのに、私の願望を叶えてくれるのだと思った。
だから好き同士ではない。所謂、"恋人ごっこ"。

私たちはそんな関係を、もう何年も続けている。

「今日、バイトあるん？」
「うん。20時まで。」

「じゃあ迎えに行くわ。」

手を振って別れた駅のホーム
その後ろ姿はやっぱり絵になる。

スラッと長い足に整った顔。
周りの人がチラチラ彼を見ているのが分かる。
幼馴染だから一緒に居れるのであって、ただのクラスメイトだったら関わっていなかったはず。

つくづく私には勿体ないなぁ、と思う。

昔は私の方が大きかった背もいつの間にか抜かれてしまって、学校でも"イケメン"と言われるようになって。
一緒に帰っていた通学路もバラバラになった。

喧嘩とかじゃない、必然というやつ。
同級生に揶揄われるのが嫌だという、あれだ。

それと同時に呼び方が"駿佑"から"みっちー"に変わった。
周りの子が呼ぶのに合わせて。無駄に近すぎないように。
教室では下手に近付けなくなった。