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ほどなくして到着したタクシーから出てきた2人の姿は、予想通り、というかなんというか。

足取りがしっかりしながらもうんざり顔の中間先輩に、

でろん、と寄りかかる大毅。


「ほらもう、Aちゃんおるで、しっかりせえ」


中間先輩によってエントランスにあるソファに転がされた大毅は、

ほぼ寝落ち寸前だ。


「ありがとうございました、送っていただいて」

「いや、ええんやけど、俺こういう後輩の世話とか慣れてるし」

「ウザい後輩でしたよね?」

「そりゃもうな」


高校生から年取っていないんじゃないか、くらい変わらない中間先輩の顔。


「ウザかったで〜、Aちゃんとの馴れ初めから再会からぜーんぶフルコースで聞かされてんけど」

「え、それはちょっと、恥ずかしいというか...」

「おん、でも自分らほんま良かったな」


呆れながらも、ニッコリ笑ってくれて安心する。


「ほら大毅、帰るよ」


相変わらずでろん、としている大毅を立たせるのまで手伝ってくれて。

私の方に手を回し、完全に寄りかかった状態で中間先輩を見送る。


「ホント、ありがとうございました」

「いーえ、重岡はなんも言わなくても元気やろけど、Aちゃんは元気でな」



マンションを出て行こうとする中間先輩、の腕をぎゅっと掴んだのは大毅、だった。

さっきまでデロデロだったとは思えない足取りで2,3歩、中間先輩になにか耳打ちしている。


男同士、まあ言っておきたいことでもあるんでしょう、


聞き終わった中間先輩は呆れ顔で「じゃあな、バカップル」と言い残して去った。

なんでバカップル??

そんな形容詞を使われたことがないので戸惑っているうちに、肩にずしっとのしかかる重み。


「ま〜だ酔っ払ってるんでしょ」

「...部屋、帰る」

「帰るってここ私の家だからね」

「いずれ同じ家なんやから一緒やろ、」


無意識にこんなことを言ってくるから本当に、この男は、ズルい。

ゆっくりゆっくり、エレベーターまで進んでボタンを押す。


降りてきたエレベーターはからっぽで、そのまま乗り込む、

行き先ボタンは、____押せなかった。





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3→←「ゆきさきボタンを、押してください」



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理衣(プロフ) - 浮気?書いてほしいです! (2018年4月4日 20時) (レス) id: 17be00a5d4 (このIDを非表示/違反報告)
TTR(プロフ) - この小説も前作も面白いです!消さないでくださいね〜 (2018年3月4日 12時) (レス) id: 7ecb9e6c11 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 楽しみにしてました! しげおか目線で、バレンタインのおはなしが、見たいです。 (2018年2月21日 3時) (レス) id: 981edafabf (このIDを非表示/違反報告)
ri-n-co - 待ってました!!!って感じです(笑)ちょっとSなしげと超あまあまなしげ待ってます◎頑張ってください◎ (2018年2月18日 22時) (レス) id: 36478c26c4 (このIDを非表示/違反報告)
櫻子(プロフ) - 続編すっごく嬉しいです!結ばれるまでのお話を重岡sideで見てみたいです! (2018年2月17日 19時) (レス) id: a65096bb52 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2018年2月14日 20時

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