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バレンタインデー、当日。
わたしは午後の授業がないから、午前が終わったらダッシュで家に帰って買い込んでおいた材料で調理開始。
家で食べてもらうなら、と気合を入れてガトーショコラにした。
材料を混ぜてなんとか間に合うようにオーブンに突っ込むと、しばらくして甘い匂いが漂ってきた。
部屋中が甘い匂いで満たされている。
きっと今日何をするつもりで呼んだかなんて、しげおかもわかっているはず。
この匂いのなかだったら、少しは普段よりも甘い時間を過ごせるかもなんて淡い期待を抱いて。
あと5分で焼きあがるところでちょうどインターホンが鳴った。
ぱたぱたと玄関まで走って行ってドアを開ければ、冬の白い匂いと一緒に入ってくるいつものコート。
「さっっっむかったあ」
はあ、と息をついた彼の周りだけなんだか空気が冷たくて。
彼がコートの前を開けたところで手を中に差し込んでぎゅっと抱きついた。
「なあんや、急に」
「気分」
口では愛想もないことをいいながら結局あたしの背中に回る手は優しい。
「はやくコート脱いで」
「お前がおるから脱げないんやろ」
「はやくリビング行こうよ」
「だから...」
家にいるときのしげおかはいつもより甘い。
いつもがカカオ75パーセントだとしたら、家にいるときは60パーセントくらい。
ほんとうにたまに、40パーセントになったりもするけど。
抱き着いていた手を緩めて仕方なくキッチンに戻って丁度焼きあがったオーブンを開けると、さらに漂う甘くていい匂い。
オーブンから天板ごとケーキを出してエプロンを脱いだところでしげおかがリビングに入ってくる。
間違えても「ええ匂いやな」なんて言わない、彼は。
ただじっと、待っている。
照れ屋だから、そんなことできない人だから。
今日くらいはあたしが舟を出して、せめて乗っかってもらうくらいはしよう。
「ねえしげおか」
「ん？」
窓の外に気を取られているふりをしてじっと待っていること、わたしにはお見通しだから。
「なんか欲しいもの、ない？」
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理衣(プロフ) - 浮気？書いてほしいです！ (2018年4月4日 20時) (
レス) id: 17be00a5d4 (このIDを非表示/違反報告)
TTR(プロフ) - この小説も前作も面白いです！消さないでくださいね〜 (2018年3月4日 12時) (レス) id: 7ecb9e6c11 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 楽しみにしてました! しげおか目線で、バレンタインのおはなしが、見たいです。 (2018年2月21日 3時) (レス) id: 981edafabf (このIDを非表示/違反報告)
ri-n-co - 待ってました!!!って感じです(笑)ちょっとSなしげと超あまあまなしげ待ってます◎頑張ってください◎ (2018年2月18日 22時) (レス) id: 36478c26c4 (このIDを非表示/違反報告)
櫻子(プロフ) - 続編すっごく嬉しいです！結ばれるまでのお話を重岡sideで見てみたいです！ (2018年2月17日 19時) (レス) id: a65096bb52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ましろ
| 作成日時：2018年2月14日 20時
