太陽と月2 s.s

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それからは
がむしゃらに仕事に打ち込んだ


オリンピックのキャスター
長丁場の歌番組の司会

もしかしたら
どこかで観ててくれてるかもしれない
なんて
淡い期待でも頑張れていた



「いや…
だからさ
お見合いなんてする気ないから…」


Aさんが居なくなってから4年

叔父から見合いの話を持ちかけられた

テレビ局のアナウンサーで
お嬢様学校を出て
幼少期はアメリカで過ごした帰国子女
父親は大学病院の院長


うちの家柄には文句のない女性だ


だけど
俺にはもう
心に決めた人がいる

今までも
そしてこれからも
この人以上好きになる人はいない

それでも
一度でもいいから
叔父さんの顔を立ててやってくれと両親からの切なる願い

仕方なく会う約束をする

申し訳ないのだけど
相手にはきちんとお断りする

礼儀正しい
イイトコのお嬢様だと雰囲気で分かる

それでもいいからとお願いされ
叔父さんのためにも何回か食事をした

報道番組でキャスターを務めてる彼女とは
そう言った部分では話が合うし勉強にもなる
恋愛抜きで会っていたある日
疲れていたせいか泥酔してしまって
途中から記憶がない

気怠い状態で目を覚ますと
全く知らないベッドにいた

慌てて起き上がると

床に脱ぎ散らかした自分の服と女物の服が落ちていた

現状を理解するために
寝起きの頭をフル回転させる

その時
右横に気配を感じた

恐る恐る確認すると
何も身に纏っていない彼女が寝ていた

そして
自分自身も何も着ていない事に気がつく


思考回路が停止している状態でいると

彼女が目覚めた

「…おはよう
タバコ吸いたかったらベランダでお願いね…」

「…俺…」

「とりあえず一服してくれば？」

すっと
彼女の指が俺の頬をなぞる

情報整理するために
ベランダで一服しながら頭を冷やし
記憶を呼び起こす


ダメだ思い出せない


一服し終えて部屋に戻ると
服を手に取り
ベッドにいる彼女に話しかける

「わりぃ
全く記憶がない

もし何かあったのなら
最低な男で構わないから
忘れて欲しい」

深々と頭を下げる

彼女は裸のまま俺に抱きついて来て
キスをして来た

「やめろよ」

無理矢理引き剥がして
右の手の甲で口を拭う

服を着ようとすると
再び抱きついて来る

「おまえ
うぜぇよ」


低い声で睨みつける

「分かった
今日は勘弁してあげる」

髪を搔き上げる
仕草にイラっとしながら

「次なんかねーよ

無かった事には出来ないけど
本当に忘れてくれ
すまない」

服を着て部屋を出る

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