テンション ページ37
年も明けて
智の事もだいぶ落ち着いて来た頃
しょーくんから
明日19時に迎えに行きます
何か食べたいものや
行きたいところがあったら教えて
と
連絡が入る
そうだ
約束したんだ
朝からうきうきしながら仕事へ向かう
もう30半ばなのに
女の子みたいに浮かれてるなんて
周りの人が知ったらなんて言われるだろう
けど
そのまま突っ走って行けるほど子供じゃなく
周りの人への配慮も考えて
大人になると色々と
守るものや
世間体
理性
しがらみが増えて行って自由がなくなる
10代の頃は大人になればもっと自由になれるのに
って憧れていたのに…
いざ大人になったらなったで
あの頃は良かったなんて愚痴るもの
結局は無い物ねだりだし
自分の気の持ちようでもある
そんな頃
智から連絡が来た
「ねーねー
今度テレビ局で新年のパーティーがあるんだ
Aも来てよ
招待状送るから」
「えー
いいよ〜
私は縁の下の力持ちなんだから
表舞台には出ない」
「やだ
来て
そーいうところじゃないと今は会えないから」
も〜
って言いながらも結局は
久々に智に会いたいからいっか
と了承してしまう
私は智には甘い
翌日
本社での経営会議
そわそわしながら仕事を終えると
外はもう暗い
角を曲がるとメールが入る
「そこで待ってて」
遠くからしょーくんの車が近づいて来た
そそくさと乗り込むとすぐに発進する
「お疲れ様です」
白のシャツをまくって高そうな腕時計
ごつくて綺麗な腕がまず目に入ってから
「お疲れ様です」
しょーくんの長い睫毛を見ながら挨拶する
「何か食べたいもの本当にないの？」
ちらっと私を見る
「うん
しょーくんのお手並み拝見」
「うわっ
プロに見極められるなんで怖ぇよ
お手柔らかにお願いします」
「了解です」
「ふはは
なんか緊張して来た」
「あんな大勢の中で堂々としているしょーくんがそんな訳ないでしょ」
「いやいや
それとこれとは話は別よ？」
片方の口角だけ上げて笑う
しょーくんが連れてってくれたのは
有名イタリアンのお店
「すごっ！
一回来て見たかったんだよね
ありがとうっ！」
テンションが上がる
「そのテンション元旦の挨拶に欲しかったわ」
「ですよねー」
なんて笑い合う
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作者名：ことら | 作成日時：2017年12月13日 14時
