ポジティブ ページ35
しばらく料理を楽しんでから
しょーくんが切り出した
「いつ
帰って来てたの？」
「...智の誕生日の日」
「マジか...
なんで連絡くれなかったの？」
ちょっと寂しそうに聞かれ
「ん...
ちょっと理由があって」
「...
もしかして
智くんの彼女？」
「うん...」
まぁ
それもあるけど
私自身の気持ちの問題だった。
「智
大丈夫かな...」
しょーくんがフォークを置いて
肘を付き両手を組み合わせて
口元に置き
穏やかな口調のまま
「あのままAさんがいたら
収集がつかなくなってたはずだよ
だから当事者同士の２人だけで話し合った方がいいんだよ
感情の赴くまま騒ぐ人ってのは
大抵第三者へのパフォーマンスだから
周りの人に注目されたいだけだよ
だから大丈夫
ただ...
代償は付き物だと思う」
流暢に言葉を紡ぐ
私の事も気遣いながらも冷静に
「これでグループにも迷惑がかかる事になっちゃうかもしれない
ごめんなさい」
「Aさんは悪くない
だから
また同じ事を繰り返すのは止めよう」
今までとは違った強い瞳でまっすぐ見つめられた
「...そうだね」
「ん」
微笑み合う
「よしっ
じゃあ
これから先の事を考えて行こう」
ぽん
と手を叩くしょーくんは笑顔だった
智の事を気にしながらも
しょーくんのポジティブさに救われる
食事も終わると
「智くんから連絡来るはずだから
今日は早めに帰してあげないと」
マンションまで送ってもらって
「またね
今度はゆっくり酒でも飲もうよ」
って言ってくれて
社交辞令だとしても嬉しかった
月明かりの中でもしょーくんは綺麗だった
部屋に入り智からの連絡を待つ
まだ彼女と一緒だったらふりだしに戻ってしまうから
携帯が着信を知らせる
この一ヶ月間とは違ってすぐに通話ボタンをタップする
「智...」
「...A...
ごめん......
俺のせいで...
本当ごめん...
もう絶対こんな事でAに迷惑はかけないから...」
「私は大丈夫だよ
智は？」
「Aが大丈夫なら俺はへーき
もう
俺からの連絡無視しないで
お願い...」
か細い声で懇願して来る智に
安心させるように柔らかい声で
「うん
絶対もう無視しないから」
約束する
それから1週間後
彼女のSNSには
智と思われる手の写真や後ろ姿が写っている写真がアップされ
そして週刊誌に智と彼女との写真が掲載された
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作者名：ことら | 作成日時：2017年12月13日 14時
