太陽と月 s.s (ページ4)

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存在ページ4

智とは家族であって家族ではない。
だから煩わしさやしがらみもない。

恋人でもないから
お互いの嫌な部分も見えないし
我慢も喧嘩もない。

じゃあなんなのかと尋ねられてもぴったりと一言でハマる表現が思いつかない。

分かってる事はお互いがお互いの良き理解者であると思う。

でも、1番近い存在であって1番遠い存在なのかもしれない。

私はそんな心地良い存在を寂しさを紛らわせるために利用してるだけかもしれない。

でも

いつか智に1番大切な人が出来たら
この関係を手放さなければいけない。
その時は私が1番祝福してあげたい。

お風呂から上がると智はソファの上で猫みたいに背中を丸めて規則的な寝息をたてていた。

そっとブランケットをかけてあげる。

このソファが気に入ったんだとある日ソファを買って来た。
大きなテレビが欲しいなぁ…なんて話をしたら
次の日大きなテレビが届いた。

「あんたの家には物があるのか？」
夢の中にいる智に呟いた。

ふうっとため息をついて
「おやすみ。」
と小声で言ってベッドに入った。

朝目覚めると
相変わらずソファで丸まってる智の頭を起こさないように智の頭をぽんぽんしてキッチンに向かう。

フレンチトーストと目玉焼き
サラダにコンソメスープ

「智、おはよう
今日仕事は何時から？？」

「んー…おはよう
今日は午後から…。」

いつも以上に舌っ足らずな言葉についつい甘やかしたくなる。

「じゃあ、朝ごはん作ってあるから食べれたら食べてね。私は仕事行くからね。」

「んー…。」

起こさないようにこっそり家を出る。

「ふぅ～…。よしっ。今日も一日頑張るかっ。」
スイッチをオンにして仕事に向かう。

微かにキンモクセイの香りがする。
もうすぐ秋が来る。