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消しゴムをのせていた手のひらに
「お」
ふわり
と桜の花びらが舞い落ちて来た
あの時
図書室から君の後ろ姿を見送っていた時も桜が咲いていた
そして
同期会の夜
君と滝沢の後ろ姿を見送っていた時にも桜が咲いていた
君との出会いと別れには桜が咲いていた
.
.
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「それ私のなんだけど？」
.
「は？」
発した声が震えているのが自分でも分かる
後ろから聞こえる
声の主を見つけるために
ゆっくり振り返る
そこには…
「は？」
もう一度声を発する
「それ
その消しゴム」
「………なんでだよ…？」
「会いに来た
会いたくてもう無理」
そう言う君が
綺麗に微笑み立っていた
12年前の姿と今がリンクする
けど
確かにAだけど
あの時のAではない
.
『恥ずかしい』よりも
『愛おしさ』の方が勝り
『照れる』よりも
『求める』方が勝る
.
気づけばAを抱きしめていた
「さ、櫻井っ
ここ会社っ」
「構うもんか」
「バレたらまずいでしょ」
「なんで？
むしろみんなに宣言したい」
「それはまずいかも…」
今俺の腕の中にAがいる
これは現実だ
夢じゃない
ばくばく飛び出しそうな
俺の心臓の音が耳から身体から聞こえる
「なんでだよ？
俺、芹沢先輩と別れたから」
「…うん」
「俺と付き合って欲しい」
「………」
「A？」
返事のないAに不安になり
覗き込む
「…ダメ…？」
途端に弱気な声になる
「…誘われてたじゃん…
相変わらずモテるんだね…
…私自信ない…
ヤキモチ妬いちゃうと思う」
「はっ！？」
なんだよそれ
そのまま俯くAの頬を両手で包み込み
顔を俺の方に向ける
「さく…」
俺の名前を言い終わる前に唇を塞ぐ
「…ズルい…」
そう呟いて
また俯くAに
「ズルいのはAだろ？」
そう囁いて
更に深いキスをする
人が来て見られたら…なんて
考えるのはくだらない
目の前にいるAを逃したくなくて
必死にすがるように
深く深く…
何度も何度も
口づける
俺から離れないで
俺の側にいて
俺のモンになって
.
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ことら(プロフ) - 皆さまコメントありがとうございます。 (2018年11月3日 11時) (
レス) id: f90816f02b (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - はじめまして!毎回楽しく読ませて頂いてました！すごく面白かったです､これからも頑張ってください！ (2018年11月2日 19時) (レス) id: 41dfb4f50b (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - お疲れ様でした！ (2018年11月2日 18時) (レス) id: 57fa7283bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - しようちやんも大好きだよ (2018年10月22日 21時) (レス) id: 971a33d799 (このIDを非表示/違反報告)
ことら(プロフ) - まひうお様はじめまして。そう言っていただけるなんて光栄です。ありがとうございます！ (2018年10月22日 17時) (レス) id: f90816f02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことら | 作成日時：2018年10月13日 19時
