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あいつ…
AAはうちの学校には大学から入った。
初めはそういう奴らと俺達エスカレーター組とは距離があった。
そして滝沢も大学からだから当然だ。
図書室で調べ物をしていた大学入りたての1年の春。
参考文献に必死で目を通していると
「それ私のなんだけど？」
「は？」
ふと声の主を探して顔をあげると
色白で目がでかく、長くて綺麗な髪をした華奢な女が俺の横に立っていた。
そのでかくてキラキラした目を思い切りつりあげて俺を睨んでる
「は？」
訳が分からなくてもう一度声を上げると
「それ。
その消しゴム」
そいつは
無愛想に俺が手にしている消しゴムを指差す
「え？は？
いや
これ俺ンだから」
さすがに初対面でその態度はないだろうと、俺もムっとした態度を取る
今思えば
まだまだガキだったな
「あなたのはこれじゃないの？
私のはシールが貼ってあるから」
そう言って
俺が手にしている消しゴムを指差していた細い指が、移動して俺の右横を指差す
「あ」
俺の肘の右横にいつも使っている消しゴムがぽつんとあった
これが俺ンだ
「…ごめん」
あんな態度を取ったくせに
自分が間違ってたのが恥ずかしいのか悔しいのか分からなくて、目も合わせずに手の中の消しゴムを差し出した。
そいつは俺から消しゴムを受け取るために指差していた手を広げて俺に差し伸べる
それを視界の隅で確認しながら本に目をやる
少し指先がふれた
春なのに冷たい指先だ。
何もなかったように、そのまま勉強を再開するため手にシャーペンを持った
「ありがとう」
「え」
今までの攻撃的な口調ではなく
柔らかな口調で言われた言葉に驚き
再び見上げると
さっきとは打って変わって
すっげぇ眩しい屈託のない笑顔で俺を見ていた
「…あ
あぁ…」
そのギャップに戸惑ってしどろもどろになっていると、そいつは何もなかったかのように涼しい顔で図書室を出て行った。
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その後ろ姿が見えなくなるまでぼんやり見つめていた
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なんだあいつ
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出会いは最悪だったけど
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不覚にもドキッとしてしまった
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今から…
もう12年前か…
これがあいつとの初めての出会いだった。
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ことら(プロフ) - 皆さまコメントありがとうございます。 (2018年11月3日 11時) (
レス) id: f90816f02b (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - はじめまして!毎回楽しく読ませて頂いてました！すごく面白かったです､これからも頑張ってください！ (2018年11月2日 19時) (レス) id: 41dfb4f50b (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - お疲れ様でした！ (2018年11月2日 18時) (レス) id: 57fa7283bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - しようちやんも大好きだよ (2018年10月22日 21時) (レス) id: 971a33d799 (このIDを非表示/違反報告)
ことら(プロフ) - まひうお様はじめまして。そう言っていただけるなんて光栄です。ありがとうございます！ (2018年10月22日 17時) (レス) id: f90816f02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことら | 作成日時：2018年10月13日 19時
