赤い髪の毛の君 (ページ11)

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「アバンティーズすきぃ！」
「特にそらちぃ好きだわ」
「えぇ～えいちゃんがいい～」

電車待ちをしている私の前に並んで話している女子高校生。真冬で風も冷たいのに生足だ。イマドキの高校生はスカートを短くするくせに何故靴下は短いのだろう。私も1年前は華の高校生だったなと思いながら彼女たちの方をチラッと見る。
YouTuberの話をしているらしく盛り上がっている彼女たち。聞きたくなかったアバンティーズの話になった時は胸がドキっとした。

私の彼氏はたくさんのファンがいるYouTuberだ。アバンティーズというグループで活動している。髪は赤くてファンからは"えいちゃん"と呼ばれることが多いらしい。世間に付き合っている事がバレればきっと彼に迷惑がかかるだろう。だから私が彼と付き合ってる事を知ってる友達はいない。もともと友達は多い方じゃないし。

そんな事を思っていた時、何人かいる女子高校生の1人が口を開いた。

「えいちゃんと付き合いたい～～お金持ってそうじゃね？YouTuberが彼氏とか自慢できるよねぇ～」

肩まである茶色の髪をくるくる巻いた化粧の濃い彼女が呟いた。彼女の周りの友達は「わかるぅう～」と言ってキャッキャと笑っている。

私はその話を聞いて胸が苦しくなった。首に巻いてあったマフラーを鼻が隠れるまで上げて左手の時計を見た。電車はあと3分で来る。

彼女が言った言葉を思い出せば徐々に腹が立ってきた。何もしらないくせに。影でえいちゃんがどれだけ頑張っているかしらないでしょ。大学に通いながら企画を考えたり撮影、編集で大変なこと知らないでしょ。私が食べてるアイスを奪って食べられるし、編集中話しかけても無視だし、酔っ払うと子供みたいに甘えて来るし、あの赤いサラサラの髪の毛だって私が乾かしてあげてるし、全部全部貴方たちは知らないでしょ。私はえいちゃんの彼女なんだから。

「電車まだぁ～？寒いんですけど」
彼女たちがそんな事を呟いてるなか私は心の中で叫んだ。