A beloved person...LAST Kei.I ×Daiki.A

150 kei side ページ7

奏衣「…だったら、…迎えに行ってあげなさいよ」









彼女がこの場を立ち去ってからずっと頭の中で回っているその言葉に俺は自分自身に問いかけた









なあ、A
もし、俺が迎えに行ったとしたら、Aは幸せになれるのか？

それとも…Aのことをずっと一途に愛している大ちゃんと幸せになった方がいいのか？









誰も答えなんて、教えてくれない
そもそも、そこに答えなんてあるのだろうか…









握りしめていた携帯
どこにいるかなんて、俺には…もう分かっていた









きっと…今頃…彼女はじっとその波を見つめているんだろう
目を閉じればあの頃を思い出す
砂浜に座っている彼女の姿が…









大ちゃんは今頃必死になって探し回っているだろう
この暗闇の中、灯などないこの街を1人で…









雲ひとつないこの空に、俺は一つだけ…願った









「…愛してる…なんて言ったら…笑われるかな？」









忘れたくても、忘れられないこの気持ち
鍵をかけたとしてもまた溢れかえってしまう









それなら…俺は…









握りしめていた携帯から、彼の名前を出して発信ボタンを押す









「…もしもし、大ちゃん？俺…Aの居場所分かったかも」









昔のことなんだから…
だったら…綺麗なままで記憶に残しておきたい









「…なあ、A？俺は…愛してるんだよ…」









雲ひとつない空に何度もその言葉を言った
届くはずのないその言葉を…

151 hikaru side→←149

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す