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雄也くんが言ったその言葉に思わず冷や汗が出る。
カランと音を立てたその飲み物を
火照っていた身体に流し込む。
カァッと熱が回るのが分かった。
雄也くんはじっと真っ直ぐこっちを見ている。
まるで心を見透かしているように…
高木「…これでも一応バーテンダーっていう仕事してるとさ?
人の感情とかなんとなーくわかっちゃうんだよねー。」
真っ直ぐ見つめられていた視線を離すことはできず…
高木「…俺が作ったカクテルの意味教えてあげよーか?」
カクテルに意味がある?
表情一つ変えない雄也くんが怖かった。
雄也くんから出てくるその言葉を待った。
高木「…スクリュードライバー。あなたに心を奪われた。
…アプリコットフィズはあなたに振り向いて欲しい。」
ねっ?と言いながらこっちを見た。
高木「…多分有岡くんがスクリュードライバーを飲んだのは、意味を知っていたんだと思うよ?」
えっ。大貴が?
思わず横で眠っている大貴を見る
高木「…アプリコットフィズはどーかわかんねえけどね?」
ふわっと笑った笑顔はなんだか寂しさを表すようなそんな笑顔だった。
大貴は私のこの気持ちを知りながら
一緒にいると言った。
でも、それは彼にとってとても辛いこと…
「…わたし、このまま大貴と一緒にいていいのかな…」
高木「…さあ?でも有岡くんはAちゃんのことだーい好きだと思う。
それに、Aちゃんも好きでしょ?
今はその気持ち少しずつ大きくしていくこと考えてもいいんじゃない?」
そうだ。
慧くんは誰かと抱き合っていた。
あの時点で私は失恋決定だ。
そうだね。と言って、残っていたアプリコットフィズを飲み干す。
高木「じゃあ、俺からもう一杯。」
目の前に置かれたカクテル。
高木「…カカオフィズだよ。」
それの意味は後で聞いたんだ。
カカオフィズ…恋する胸の痛み
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作者名:藍 | 作成日時:2017年5月12日 13時