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大貴とこんな風になるなんて…
最初は想像もしていなかった。
しっかりと握られた右手は
いつも通り私の歩幅に合わせて歩いてくれる。
彼が言っていた片想いの相手がまさか私だったなんて…
梨華や光は知っていたのかな…
有岡「…A、せっかくだし一杯どう?」
「…そうだね。今日は飲みたいな…」
ちゃんと笑えていたのだろうか。
大貴は分かったと言って見覚えのある路地を歩く。
ドアを開けると昼間の雰囲気とは想像もつかない場所だった。
そこにいたのは
バーテンダーをしている雄也くん。
高木「…あれ?うまくいったんだ?」
有岡「…まあな。」
ヘヘッと言いながら席に着く。
高木「…じゃあそんな2人に俺からとびっきりの一杯プレゼントするよ。」
そう言って雄也くんはシェイカーをふりはじめた。
高木「…はい。どーぞ。」
目の前に置かれたそれはとても綺麗な薄いオレンジ色だった。
高木「これね?アプリコットフィズっていうの。」
もう一つ置かれたそれは濃いオレンジ色だった。
有岡「これ…」
高木「…そう。スクリュードライバー。」
どっちかお好きなのをどうぞと言って、
雄也くんは別のお客さんのところへ行った。
悩んでいると大貴はスクリュードライバーを選んだ。
有岡「…こっち結構アルコール強いから…」
と言って一口。
「大貴、お酒そんなに強くないでしょ?」
有岡「…だってAがいるじゃん?
もし酔ったら介抱して?」
ねっ?と言いながら首をかしげる。
そしてまたスクリュードライバーを口へと運んだ。
いつまでそこにいたかはわからない。
でも気がついたら、大貴は酔ったのか、
机に顔を伏せて寝ていた。
高木「有岡くん、寝ちゃったんだね?」
「…そうなの。もーお酒そんなに強くないのに…」
高木「嬉しかったんじゃない?Aちゃんにやっと好きって言えて…」
「…そうなのかな…」
くぅくぅと寝息を立てながら寝てる大貴をみる。
ふわふわとした黒髪。
寝顔は幼い子供みたいだった。
高木「…俺が聞くのもなんだけど…なんかあったの?」
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作者名:藍 | 作成日時:2017年5月12日 13時