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最後に大きな一輪の花火が空を彩った。
それは終わりの花火だった。
有岡「…さて、終わったことだし帰ろっか？」
「あっ、私ちょっと用事が…」
有岡「…えっ、用事？」
私の表情を見て察したのか
有岡「…伊野ちゃん？」
返事をしようとした。
有岡「…そっか。そこまで送ってくよ。
女の子が夜道歩いたら危ないから…」
大貴の顔が見れなかった。
彼は私に好意を持ってくれている。
それなのに、私は慧くんのところへ行く。
好きな女が別の男のところへ行くのなんて、
もし、私が大貴の立場だったら耐えれないだろう。
大貴はどこまでも優しい人だ。
彼を傷つけると分かっていながらも、私は歩き出した。
待ち合わせ場所に着いた時。
有岡「…Aっ。いっ、いこ。」
「…えっ？だって、慧くんが…」
大貴の手に惹かれて待ち合わせ場所から離れる。
でもね？見えたんだ…
慧くんが知らない女の子を抱きしめている姿を…
有岡「…やっぱ撤回させて。
A、俺と…付き合って？」
「…でっ、でも…私…」
有岡「…俺のこと気になってるでしょ？
少しずつでいいんだ…
俺のこと好きになってよ…」
少しずつ近づいてくる大貴の顔に私は身を任せた。
唇が合わさった時…
慧くんのことは忘れようと心に決めた。
慧くんを好きになる前に…
いや、好きになってたんだ。
大貴を受け入れた私にこの気持ちを言う資格はないから
ねえ、大貴？
あなたの優しさにはいつも助けられていたんだよ。
私はあなたとのことは後悔なんてしてないの。
だからお願い…
あなたのことを心の奥から好きになりたかった…
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作者名：藍 | 作成日時：2017年5月12日 13時
