23 kei side ページ23
高木に言われた言葉にイライラしつつ、
昨日飲み過ぎた頭を抱えてホテルへ戻る。
どうせ、薮にでも怒られるだろうなと思いながら、
どんよりとした曇り空の下を早足で歩くと、
少し先に見覚えのある人が目につく。
彼女はそのまま海の家の方へと向かっていった。
こんな天気だし、高木と話してたってことは休みか。
数メートル先の彼女になんて声をかけようかと考えていると、彼女の異変に気づく。
あれ？頭抱えてる？
と、思ったのもつかの間。
「…っおいっ。」
と、声をかけたときにはもう彼女は俺の腕の中。
気を失ってるみたいだ。
「…っ。やべえじゃん。」
とりあえずこの状態の中目の前に見えるのは俺らのバイト先。
彼女をおぶって、そこへ向かう。
きっと、誰かいるだろう。
なぜか、そのとき
懐かしさを感じた。
昔にこんなことがあったかのように。
ズキッ
二日酔いの頭痛なのか、
それとも過去を思い出そうとしての頭痛なのか…。
今はそんなことを考えてる場合じゃないか。
海の家に入ると光が驚いた顔をしてこちらへ向かってきた。
光「どーした？」
「…わかんね。ただ、海の家の近くで頭抱えて倒れた。」
光「…そっか。とりあえず寝かせよう」
Aを寝かせて外へ出て行こうとすると、
光「…伊野尾も寝たら？顔色悪いぞ？」
「…ホテル帰って寝るよ。」
なんとも言えない顔をした光と
スヤスヤと眠るAを置いて外へと出ていった。
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作者名：藍 | 作成日時：2017年5月12日 13時
