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連れてこられた場所は角を曲がってすぐの喫茶店だった。
入るとふわっと香る珈琲の匂い。
高木「…なんか飲む？」
「アイスコーヒーで。」
ウエイターさんを呼んでさらっと注文をしてくれるところを見ると慣れてるなーと思った。
窓の外は相変わらずどんよりとした曇り空。
もうすぐで雨が降り出しそうな感じだった。
高木「海好きなんだね」
「高木先輩も好きですよね？」
「…ああ。なんか海見ると、なーんも考えなくていいかなって思えて。
まあ、俺基本なんも考えてないけどね？」
ふわっと笑った笑顔は普段の高木先輩からは想像もつかないあどけない笑顔だった。
カランという音を立てたアイスコーヒーを口に含む。
高木「…昨日、伊野尾くんとなんかあった？」
ゴホッ
高木「あっ、ごめん。」
はい、と手渡されたおしぼりで口元をふき、
すいませんと彼に謝る。
高木「いや、俺のタイミングが悪かったよね…」
しゅんとしている彼の顔を見ていたら思わず
「ふふっ」
高木「なんだよー。笑うなよー。」
高木先輩のイメージが変わった瞬間だった。
この人になら…と思い、昨日あった出来事を話した。
カランとまた音を立てて、氷はいつの間にか溶けてしまっていた。
高木「…へえ。あの伊野尾くんがね…」
考え込むようなタイプの人ではないって勝手に思っていたけど…
うーんと唸った後にまた黙ってしまった。
言葉を探しているのだろうか。
高木「伊野尾くんがさ、俺らの前でそんな行動するの2回目なんだ…」
「………えっ。」
高木「…ただ…」
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作者名：藍 | 作成日時：2017年5月12日 13時
