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人気のない森を抜けた先。
見えてきたのは、堅牢な壁に囲まれた荘厳の砦──ヴァリアー城だ。

「スクアーロ隊長、ご苦労様です!」

門を潜るなり飛んできた威勢のいい挨拶に、反射的に肩を揺らす。

こういう熱血的なことを教え込むのは、きっとレヴィの仕業だろうな……

暑苦しさに辟易していると、その内のひとりが怪訝そうにスクアーロを呼び止めた。

「あの隊長、そちらの方は……?」

どうやら、私の正体に気づいていないらしい。
私は、と口を開きかけた時。

「詮索は命取りだ。下がれ」
「はっ……、ッ申し訳ありません!」

ぴり、と背筋が痺れる感覚。
スクアーロはそう言い放つと、そのまま城内へと足を運んだ。

「す、スクアーロ。別に教えてあげても……同じ部隊の人なんだし」
「ゔぉおい、バカかぁテメェは。情報が漏れてみろ、今のテメェじゃ一瞬で殺られんのがオチだぁ」
「ぐぅ……」

悔しいがその通りである。
黙り込んだ私には目もくれず、スクアーロは天井の高い廊下を真っ直ぐに進んでいった。

──黄金の燭台、神話を象ったステンドグラス。
城の中は10年前と何ひとつ変わってはいない。

「そういやお前、いつまでンなモン着けてやがる」

ぼんやりと城内を眺めていた時だった。
スクアーロが、唐突にこちらを見下ろして言う。

視線の先には──鈍く光る、あのチョーカー。

「あー……これはその、白蘭が」
「だろうなぁ。発信機だぞ、それ」
「はぁ!?」

なぜ分かるんだとかそういう疑問はさておき、慌ててタグを引っ張る私。
しかし留め具もチェーンも張り詰めたきり、外れる気配はない。

「ッなんで、取れな、」
「落ち着けぇ。もう機能してねーよ」

狼狽える私をよそに、ひらひらと手のリングを揺らして見せたスクアーロ。

あ、雨の炎──そうか。

どうやら初めに鎮静化されていたらしい。
相変わらず抜け目ないな、と息を吐く。

「(クソ、白蘭め……なんて物つけてくれたんだ……)」

後でペンチ探そ……と考えるうちに、ようやくたどり着いたのは突き当たりの扉の前。
この先は──大広間だ。

スクアーロは片膝をついて、ようやく私を下ろした。
意外にも繊細な仕草に、思わずその顔をまじまじと見つめる。

こ、これが大人の余裕か……?などと感心している私をよそに、スクアーロは大きな扉を勢いよく蹴り開けた。前言撤回だ。


「──ゔぉおおい、戻ったぞぉ!!」

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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~!近いうちに続編公開するのでお待ちください! (6月14日 12時) (レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです!続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…!コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ!!!(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです!!ご馳走様です!!続き早く読みたいです!!おかわりください!!!!! (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜!!^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…! (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:オウリ | 作成日時:2020年11月29日 23時

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