標的98 ページ5
「──そういやぁお前、この時代のことどこまで知ってやがる」
地下の変わらぬ風景をただ眺め続けること数刻。
その問に、ギクリ、と肩を揺らす。
「え、えっと。炎とか、匣兵器？とかがあるんでしょ？」
「……ったく、そんなんでよく生き延びたもんだぜぇ」
その言葉にはぐうの音も出なかった。
どこか呆れた視線のまま、スクアーロが胸元からあるものを取り出す。
「ちょうどいい。着くまでの間、基本だけでも覚えておけぇ」
持て、と渡されたそれは──先ほどの匣兵器。
スクアーロは片手に炎を灯すと、そのままリングを押し当てた。
「色々種類はあるが……基本は死ぬ気の炎をエサに動く、動物を模した生体兵器──それが“匣”だ」
「……あれ？」
フタが開き、再びふわりと蝶が舞う。
しかし、そこには明らかな違和感があった。
出てきたのは──
でも、さっきは確かに藍色じゃ……？
「炎には“属性”ってモンがある。本来は炎、リング、匣──それぞれの属性が一致しなけりゃ匣は開かねぇが、こいつはちと特殊でなぁ」
スクアーロによれば、この蝶は匣から匣へと飛び移る試作品らしい。
それ故、属性による縛りがないのだという。
「じゃあ……つまり、骸とスクアーロは属性が違うってことか」
「ああ。オレは雨、あいつは確か……霧だったな」
じゃれつくように私たちの周りを飛び回り、やがてスクアーロの肩へと落ち着いた蝶。
その羽は透き通っていて、静かに青い炎を灯していた。
「それから、炎には属性ごとに異なる特性がある。雨の場合、特性は“鎮静”。お前がぶっ倒れたのもそれが原因だぁ」
「似合わな……」
いけね。思わず本音がこぼれ落ちる。
スクアーロならもっとこう、傲慢！とか獰猛！とか……そういう感じじゃないんだ。
「まぁ何にしろ、まずはリングに炎を灯せなけりゃ話にならねぇ」
「リングに、炎を……」
揺られながら、右手のリングに目を落とす。
試しにぐ、と力を込めてみるが、燃えるどころか熱くなる気配すら感じない。
「……これ、本当につくのかなぁ」
「そう簡単にゃいかねぇよ。必要なのは“覚悟”だ」
見上げたその視線は、どこか遠くを見つめていた。
……口では簡単に言うけれど。
私の……覚悟、か──
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~！近いうちに続編公開するのでお待ちください！ (6月14日 12時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです！続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…！コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ！！！(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです！！ご馳走様です！！続き早く読みたいです！！おかわりください！！！！！ (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜！！^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…！ (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年11月29日 23時
