標的123 ページ30
＊
染みひとつない、真っ新な天井。
無機質なそれをただひたすらに眺め続け、一体どのくらい経っただろうか。
おもむろに視線を動かせば、投げ出された腕の先、輸液バッグが音もなく滴っている。
「……最ッ悪、だ……」
誰もいないのをこれ幸いと、意味のない独り言をもらす私。
……どうしてこうなった。
私はまた、ほんの数刻前の出来事を思い出し、何度目かのため息を吐いた。
＊
「おまたせ」
その声に、一足早く準備運動を始めていたツナと山本が振り返る。
彼らの手にはそれぞれ、愛用のグローブと竹刀。
「ハハッ、並中ジャージかよ」
「……リボーンが、これしかないって」
投げ渡されたのは、10年前と全く変わらぬ学校指定のジャージだった。
若干の不満を覚えながら、当の赤ん坊を見下ろす。
……なんでちゃんとした服置いてないんだ。こんな広いくせに。
「似合ってるぞ」
「フォローになってないんだけど……」
ニンマリと薄ら笑うリボーンに、私はまた目を細めた。
「そんじゃ始めるぞ。ルールは特にねぇ、死ぬ気でやれ」
「よっし！ツナ、作戦通りにな」
「う、うん！」
リボーンの言葉で、向こうへと駆けて行くふたり。
私が着替えている間、作戦会議でもしていたのだろうか。
やがて適当な位置で立ち止まると、ツナは一思いに死ぬ気丸を飲み込んだ。
直後、額から燃え上がった炎が、側で構えた山本の刀をぎらりと照らす。
その緊張感に、私は全身が痺れるのを感じていた。
まさか……彼らと拳を交える日が来るなんて。
敵同士だったときとはわけが違う。
殺す目的ではない──だからこそ、全力でぶつかり合うことができる。
こんなにわくわくするのは、いつぶりだろうか。
「準備はいいな。位置について、よーい」
締まりのない掛け声とともに、リボーンがピストルを上に向ける。
ふたりのさっきの会話からして、恐らく策があるのだろう。
流派使いの山本に、自在な機動力と炎の拳を持つツナ。
そして、何の遮蔽物もないこのフィールド。
中距離戦を得意とするこちらにとっては、不利な状況だ。
ならば、取るべき行動はひとつ。
“先手必勝”。
狙うは──速攻だ。
「スタート」
その声とともに、引き金に力を込める。
寸分違わぬ照準。
落ち着き払った集中力。
失敗はありえない──
「──え、」
その、はずだった。
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~！近いうちに続編公開するのでお待ちください！ (6月14日 12時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです！続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…！コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ！！！(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです！！ご馳走様です！！続き早く読みたいです！！おかわりください！！！！！ (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜！！^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…！ (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年11月29日 23時
