標的111 ページ18
「やぁ。その声はザンザスクン……かな？ハハ、さすがにチャンて感じじゃないよね」
「気安く呼ぶな、カス」
まさに──一触即発。
白蘭は薄笑いを浮かべたまま、「冷たいなぁ」と肩をすくめる。
肌を刺すような緊張感に、私は思わず生唾を飲み込んだ。
「テメェに用はねぇ。消えろ」
「まぁまぁ、そう怒らないでよ。僕が話したいのはAチャンだけだからさ」
「あんたと話すことなんかない」
そう食い気味に言い放った瞬間、わざとらしく目を丸くした白蘭。
困ったように眉尻を下げたかと思うと、唐突に、人差し指をこちらへ向けた。
「そのチョーカー、よくできてるでしょ。とっても優秀な
──並の力ではどうにもならないよ。
きっと、その言葉は嘘ではないのだろう。
それも守護者クラスの炎となれば、その威力は相当のものだ。
……今の私に、それに対抗するだけの炎は、出せない。
「おっと、そろ──時間切れ、かな──」
どうすることもできず、ただ白蘭をじっと見据えていたその時。
ふいに、その輪郭にノイズがはしる。
どうやら不安定な電波の中、通信を送っていたらしい。
映像が乱れるのも構わず、映像越しにゆっくりとこちらへ歩み寄る白蘭。
「ねぇ。僕のとこ戻ってくる気、ない？」
「断る」
「だよね♪」
即答した私に、白蘭は心底可笑しそうに喉を鳴らした。
そのまま、おもむろに──私の顎に手を添える。
触れられるはずもないのに、まるで、そこに“いる”かのような感覚。
なぜだか縫い付けられたように、身体が動かない。
…………本当に、見えてないん、だよな？
「もっかいしとく？」
囁くような声。
薄く覗いた瞳が、確かに私を捕えている。
刹那、眼前に迫ったその笑みは、空間を割く銃声とともに吹き飛んだ。
「ッ！！」
「──ドカスが」
吐き捨てるように、白蘭の頭部を打ち抜いたザンザス。
突如首なしになったその姿に一瞬驚愕するも、やがてホログラムは完全に消え去った。
一気に肩の力が抜け、全身を嫌な汗が伝う。
……落ち着いたら、なんだか無性に腹が立ってきた。
なんだあいつ全然反省してねーな。何がもっかいしとく？だ！！
沸々と怒りに震える私を後目に、ザンザスが静かに銃を下ろす。
「……ごめん、ボス」
「次に会った時が、奴の最期だ」
心底不快そうに呟き、グラスの水を傾けるザンザス。
その横で、穴の開いた壁がパラパラと乾いた音をたてた。
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~！近いうちに続編公開するのでお待ちください！ (6月14日 12時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです！続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…！コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ！！！(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです！！ご馳走様です！！続き早く読みたいです！！おかわりください！！！！！ (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜！！^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…！ (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年11月29日 23時
